働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大で注目される「テレワーク」では、新たな取り決めや体制作り、労働に対する価値観の変革が求められることから、人事部にも従来とは異なる課題が生まれています。
この記事では、テレワークによって人事部が抱える課題や、それを踏まえた上で今後の人事部に求められる理想的な在り方などを解説します。
テレワークとは?
そもそも、テレワークとは具体的にどのような働き方を指すのでしょうか。テレワークの概要について解説していきます。
厚生労働省が推進するワークスタイル「テレワーク」
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、会社以外の自宅やレンタルオフィスなどで働くことです。
テレワークによって、労働者は通勤時間を削減できるだけでなく、プライベートとの両立をはかるなど、フレキシブルな働き方が実現します。
企業にとっても、育児や介護などを理由とした離職を防いだり、オフィス維持にかかるコストを削減したりといったメリットがあります。
首都圏の通勤混雑解消や災害時の経営リスク分散、地方事業の活性化といった観点からも、国をあげてテレワークの普及が促進されています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で急拡大
元より国をあげて推進されてきたテレワークですが、昨今の新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛要請により、導入する企業が急速に増加しています。
2020年1月より自主的にテレワークを実施する企業が増え始め、2月25日に政府が発表した「新型コロナウイルス感染症対策基本方針」では、企業等に対し時差出勤やテレワークの実施が要請されたことから世間でも注目を集めるようになりました。
その後も、一斉休校により出社困難になった社員が増えたことや、緊急事態宣言の発令などを背景に、テレワークを緊急導入する企業が続出しています
テレワークの「テレ」とは?
テレワークの「テレ=tele」とは、「離れたところで」という意味の英単語で、「テレパシー」や「テレフォン」と同じものです。
テレワークは、「テレ+ワーク(仕事)」を組み合わせた言葉ですので、「在宅勤務」だけでなく、カフェやレンタルオフィス、サテライトオフィスでの勤務もテレワークに含まれます。
テレワークのメリット
テレワークを導入することは、労働者だけでなく企業にも様々なメリットをもたらします。
最も大きなメリットは、育児や介護などライフイベントによる社員の退職を防ぎ、労働力を確保できるということです。日本では、少子高齢化の影響から働き手が不足しており、採用が困難な状況が続いています。
テレワークによって、プライベートと仕事の両立を図ることで、労働力の流出を防ぐだけでなく、ライフ・ワーク・バランスを実現して企業イメージが向上すると、採用にとってもプラスの作用をもたらします。
通勤がなくなることで、オフィスの光熱費や賃料、設備費用、通勤手当などのコスト削減につながるといった点も大きな利点です。ICTを導入して環境を整備するために一時的に費用がかかりますが、長期的にはコストを抑えることができます。
また、今回の新型コロナウイルス蔓延や東日本大震災時にテレワークが注目されたように、緊急事態が発生して通勤が困難な状況になっても、テレワークが可能な状況であれば事業継続性を担保できます。経営リスク低減の意味合いでも、テレワークが推進されています。
テレワークでマネジメントが変わる?人事部の課題
企業にとってもメリットの多いテレワークですが、実際に導入するとなると、勤怠や人事評価を管理する人事部にとっては課題も多いものです。テレワークにおいて人事部の抱える課題としては、以下の点があげられます。
労務管理
従業員の労働を管理者が直接監視できないテレワークにおいて、労務状況をどのように管理するかが一番の課題です。
PCのログイン・ログアウトの時間で勤怠管理したとしても、従業員が本当に業務に取り組んでいるか確認することは不可能なため、ある程度従業員の自己裁量に任せざるを得ません。
他にも、残業をどのように定義するか、深夜労働や休日労働をどう管理するかなど、新たな取り決めも必要になります。
セキュリティリスク
従業員が自宅から会社の各種情報にアクセスする以上、オフィスワークよりもセキュリティリスクが多くなることは避けられません。
インターネットを経由したアクセスによるウイルス感染の他にも、PCやデータ記録媒体の紛失、家族に情報を見られてしまうなど、様々な事故が懸念されます。
企業は、技術面でのセキュリティ対策、ルール整備、そして従業員の意識向上といった対応が求められます。
快適な作業環境の整備
ICTの導入をはじめとする自宅での作業環境の整備も必須となります。
チャットによる円滑なコミュニケーション体制作りや、クラウドを利用した共有データへのアクセス、WEB会議システムの導入など、従業員がストレスを感じずに業務にあたれる環境整備は、企業の責務ともいえます。
コミュニケーション不足
従業員同士が顔を合わせないことにより、コミュニケーション不足に陥ってしまうことも問題点です。
誰かが困っている時に協力し合ったり、わからないことを質問したりと、対面では当たり前に行っていたコミュニケーションが希薄になってしまいます。
組織への帰属意識や目的意識が失われてしまうだけでなく、必要な情報の共有が遅れたり、承認に時間がかかったりと、業務に支障が出る恐れもあります。
適正な人事評価
オフィス勤務と違い、従業員の仕事ぶりを直接確認することができなくなるため、どのように働きを評価したらいいのかわからないといった声も多く聞かれます。
自宅での勤務状況を確認するためには、毎日の成果を評価することが一般的ですが、成果のみに評価が偏ると、過程が評価されないことに不満を抱える社員も出てきてしまいます。
わかりやすい行動指針や目標を共有するともに、従業員が納得できる評価基準が必要になります。
テレワークで人事部に求められるものとは?
このような課題に対して、今後の人事部にはどのような取り組みや姿勢が求められるのでしょうか。具体的に解説します。
各種ツールの導入
テレワークでも従業員に成果を出してもらうには、自宅でもスムーズに業務にあたれるよう、作業環境を整備することが急務です。
まず、業務に必要なデータを共有するためのプラットフォームです。独自のシステムを開発する企業もありますが、既存のクラウドサービスを利用するのが手近でしょう。
セキュアで使いやすいコンテンツ共有ツールとしては、「BOX」がおすすめです。多様な形式のデータに対応しており、閲覧履歴の管理もできるため、セキュリティ面でも安心して使用できるツールです。
コミュニケーション不足の解消には、「ZOOM」などのビデオ会議ツールが効果的です。定期的なチームミーティングを行って相互に目配りすることもできますし、最大1000人のビデオ参加者に対応できるため大規模ミーティングにも活用できます。
チームによる組織統制
自宅で作業する従業員の取り組み方について、従業員の自主性に任せることには限界があるものの、企業が細かく指示を出したり、強制力を強めては、かえって従業員のモチベーションを低下させてしまいます。意欲的に業務に取り組むためには、組織的な仕組みが必要です。
解決の一手としては、チームによる業務推進があげられます。チーム単位で課題を与え、チームミーティングによって個人の職務を決定します。協働により相互作用を高めるだけでなく、チームへの帰属意識や目的意識をもって業務にあたることができるようになります。
経営に直結した人材戦略への意識
従来とは異なる働き方や人事評価が定着し始めている昨今、人事部にも意識改革が求められています。
新しい労働価値の中でも成果を出し続け、企業が成長し続けるためには、人事部が経営目標を理解して人材戦略を策定する必要があるためです。
テレワークでは、従来のような年功序列や時間による人事評価は意味を持たず、戦略的にパフォーマンスを上げていく体制が求められます。
そのためには、採用から育成、人材配置、評価までの流れを経営課題と直結させ、根底から管理していかなければなりません。
採用や労務に関するオペレーションを担うだけの人事部から脱却し、経営の根幹を担うという人事部にシフトしていく姿勢が重要といえます。
人事評価はクラウドシステムで効率UP & 平準化を実現
感染症の蔓延や働き方改革といった背景から急速に普及が進んでいるテレワーク。導入することは企業にとってもメリットがありますが、従業員がスムーズに業務を行い、十分に成果を上げるためには、様々な面から体制作りを行う必要があります。
中でも、オフィス勤務と変わらない成果や成長を求めるには、適正で納得感のある人事評価制度を構築することが急務といえます。
また、構築した制度を、テレワーク環境においても確実に運用するためのツールが必要です。
「あしたのクラウド™HR」なら、評価シートをクラウド上で表示できるため、テレワークにも対応した効率的な人事評価が可能になります。
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