採用活動を行なっていく中で、どれだけ優秀な人材を確保できるかは大きな課題となります。
この記事では、優秀な人材の確保に役立つ「タレントプール」について、概要や活用するメリット、活用方法などを解説します。
タレントプールとは?
タレントプールとは、自社で採用する可能性がある優秀な人材のデータを蓄積するためのデータベースを指します。
タレントプールがあることによって、現段階では採用につながらなかった優秀な人材に対して、いつでもコンタクトを取れるようになります。
例えば、優秀な人材の確保に向けて採用活動を進める中で、以下のような悩みを抱くケースがあるはずです。
- 優秀な人材であるものの、わずかに合格基準に満たないために採用できない
- 採用枠の上限に達してしまい、優秀な人材の採用を見送らざるを得なかった
- 優秀な人材に内定を出したが、辞退をされてしまった
「優秀な人材ではあったが、現段階では採用にはつながらなかった」といった場合、通常であれば採用につながらなかった段階で、企業と人材の縁は切れてしまいます。
しかし、タレントプールに優秀な人材の情報を蓄えておくことにより、数ヶ月後や数年後にも、その人材に対し必要に応じて「うちで働きませんか?」とコンタクトを取れるようになるのです。
また、タレントプールは「今後採用したい優秀な人材」か「退職したがぜひまた働いてほしい優秀な人材」のデータを蓄積するものです。
いわば「いつかお互いのタイミングが合えば一緒に働きたい人材のリスト」であるため、採用活動で優秀な人材を確保することに大きく役立ちます。
タレントプールのメリット
タレントプールの活用には多くのメリットが存在します。
タレントプールによって得られる5つのメリットを確認していきましょう。
優秀な人材の採用機会を失わない
先に解説した通り、タレントプールの一番のメリットは優秀な人材の採用機会損失を防げることです。本来であれば不採用の判断を下した段階で切れてしまう縁を、タレントプールがつなぎとめてくれます。
特に「採用枠がすでに埋まってしまった」「合格基準にあと一歩だけ届かなかった」といった場合、「あのとき、あの人材を採用していればよかった……」と後悔する採用担当者は少なくありません。
タレントプールがあれば「あの人材を採用していればよかった」と思ったときに再度コンタクトを取れるので、後悔しなくなるのです。
採用活動が効率的になる
タレントプールを活用した採用活動は、通常の採用活動よりも効率的です。
その理由は、タレントプールは優秀な人材をピックアップしたデータのため、優秀な人材を探す手間が省ける点にあります。
通常の採用活動には、応募者の中から自社の条件に合った人材をピックアップし、さらにそこから優秀な人材を見極めて……といったプロセスがあります。
しかし、タレントプールを活用すればそこの手間は一気に省けますので、かなり効率的に採用活動を行えるのです。
採用コストが削減される
人材の採用には多くのコストがかかりますが、タレントプールを活用すればコストを格段に抑えられます。
採用活動の効率化による人員的コストの削減はもちろん、採用の募集や広告にかかる金銭的なコストもグッと抑えられるのです。
採用コストが削減できることで、今は「まとまった予算ができてからでないと採用活動が難しい」といった企業においても、気軽に採用活動を行えるようになるメリットもあるでしょう。
スピーディーな採用が期待できる
採用活動の効率化により、通常の採用活動よりもスピーディな採用が叶うのもタレントプールならではの魅力です。
一般的な採用活動では、「求人を出す→応募をもらう→選考を進める→採用の判断をする」といった流れになります。しかし、タレントプールを活用した採用活動では「採用したい人材にコンタクトを取る→承諾が得られれば採用」と、たったこれだけに短縮できるのです。
採用のシーンでは、選考中に採用対象者が「入社したいタイミングではなくなってしまう」ケースがしばしばあります。ですが、タレントプールを活用したスピーディな採用により、そういったすれ違いの防止にもつながります。
隠れた優秀な人材へアプローチができる
転職市場には出回っていない、隠れた優秀な人材へアプローチがかけられるのもタレントプールのメリットです。
世の中には「転職の意思はあるものの転職活動を行なっていない優秀な人材」というのがかなり多く存在します。
タレントプールでは、転職活動へは踏み切っていない隠れた人材にもコンタクトを取ることが可能なので、通常の採用活動では獲得不可能な人材を獲得できるのです。
タレントプールの活用事例
実際にタレントプールを活用している企業は、タレントプールをどのように活用しているのでしょうか。
ここからは、企業におけるタレントプールの活用事例をいくつかご紹介していきます。
日本IBM
日本IBMでは「採用候補者からのアプローチを待つのではなく、自ら候補者にアプローチをかけていこう」といった取り組みのなかで、タレントプールを活用しています。
日本IBMの事業にマッチしそうな人材の情報をあらかじめタレントプールに蓄積しておくことで、各事業部門で新たな人材のニーズが生じたときに、素早く対応できているようです。
日本IBM採用チームの統括部長は「タレントプールでは自社の基準にマッチする人材のみをピックアップしているために、候補者の質もより高くなるはずだ」とも語っています。
LUSH
バス用品やボディケア用品の販売で世界的に有名なコスメ企業であるLUSHでも、タレントプールを活用した採用活動を行なっています。
LUSHのタレントプールは一般登録型となっており、公式Facebookページなどでユーザーへタレントプールへの登録を促しているのが特徴的です。
さらに、LUSHではマーケティングツールを用いてタレントプールを構築しているため、これからタレントプールを構築しようと考えている企業にとって、非常に参考になる事例です。
Dell Inc.
世界トップレベルのシェア率を誇るパソコンメーカーのDell Inc.でも、LUSHのように一般登録型のタレントプールを活用しています。
FacebookやTwitter、LinkedInといったソーシャルサービスと連携し、ユーザーがDell Inc.の募集情報のシェアができるようにもなっているのが特徴です。
このように、ソーシャルリクルーティングの要素も組み込むことにより、さらに幅広い層にアプローチが可能なシステムになっているのです。
Dell Inc.はLUSHと同様に、これからタレントプールの活用を考えている企業には、ぜひ参考にしてほしい事例のひとつです。
タレントプールの活用方法
「タレントプールのことはわかったけれど、もっと具体的にどのように活用していけばいいの?」と感じている方に向けて、タレントプールの活用方法を詳しく解説していきます。
STEP1:タレントプールに蓄積する情報の基準を定める
まずは、どんな人材のデータをタレントプールに蓄積していくか、ある程度の基準を決めておくと今後の運用がスムーズです。
タレントプールには多くのデータがあったほうがいいです。しかし、誰彼構わず色々なデータを蓄積していると「優秀な人材をすぐに見つけられる」というメリットが薄まってしまいます。
また、タレントプールにデータを蓄積する人材の基準は、採用基準よりも緩いものになるはずです。将来的に自社にはどんな人材が必要になるかも考えながら、集めるデータの基準を定めておきましょう。
STEP2:タレントプールを構築する
前準備として、集めたデータを蓄積するためのタレントプールを構築します。
最近ではタレントプールの構築・運用を担うサービスが多数存在するため、そういったサービスを活用するのが効率的です。
もちろん、自社にエンジニアを抱えていてタレントプールの自社開発が可能なのであれば、自前のタレントプールを構築するのもいいでしょう。
ただ、ひとつ気をつけなければならないのは、タレントプールに蓄積するデータには個人情報も含まれている点です。
ゆくゆくの管理・運用のことまで検討して、どのようなタレントプールを構築し、誰がどのように管理すべきかを考えていきましょう。
STEP3:タレントプールに蓄積するデータを収集
STEP1で定めた基準をもとにしながら、自社に適合しそうな人材のデータを集めていきます。
タレントプールにデータが蓄積されていなければ、タレントプールを活用することはできませんので、ひとりでも多くのデータを集める必要があります。
単純に「採用活動のなかで採用につながらなかった優秀な人材」や「退職してしまったけれど機会があれば戻ってきてほしい人材」のデータを登録するだけでは限界があるはずです。
そのため、事例で紹介したLUSHやDell Inc.のように一般登録の形をとったり、セミナーや企業説明会を通じてデータを収集したりするなどの工夫が必要です。
STEP4:タレントプールに蓄積した人材に定期コンタクトを取る
タレントプールに蓄積した人材へは、定期的にコンタクトを取る必要があります。
この定期コンタクトなしに「うちで働きませんか?」とスカウトを行なっても、採用には繋がりづらいからです。定期的かつ継続的にコンタクトを取り、ある程度の関係性を築くことで、採用につながりやすくなります。
また、定期コンタクトにより相手の状況を知ることでより適切なスカウトのタイミングを見極めやすくなったり、採用を行なっていない期間も相手が「この会社で働きたい」といった気持ちを持ち続けてくれるメリットもあるのです。
STEP5:候補者をスカウトする
タレントプールに蓄積されているデータのなかから、採用したい人材にスカウトを送りましょう。
スカウトは「自社が人材を求めているタイミング」かつ「相手が自社に入社したがっているタイミング」を狙う必要があり、非常に難しいです。
しかし、STEP4の定期コンタクトを密に行なっていれば、どのタイミングでスカウトを行うべきかが見えてきます。
また、もしもスカウトを辞退されてしまったとしても、縁が切れるわけではありません。定期コンタクトからコツコツと時間と信頼を積み重ねていけば、将来的な採用につながるかもしれません。
優れた人事評価制度も採用活動の強みに
タレントプールは優秀な人材を獲得するのに有効な手段です。
タレントプールがもたらすメリットは非常に多いものの、すぐに結果がでるものではなく、中長期的な運用をしてこそ結果がでるものでもあります。そのため、タレントプールを活用するときには、長い目で見て、地道な運用を続けていくことが大切です。
また、優秀な人材を確保するためには自社の人事評価制度を充実させる必要があります。
なぜなら、そもそも自社にとって本当に優秀な人材とはどんな人材なのかを知る必要があるからです。また、優秀な人材の多くは転職先に「適切な人事評価制度」を求める傾向があるのも、充実した人事評価制度が必要な理由のひとつです。
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