新卒採用は1年以上にも及ぶ長丁場であることから、仕事内容や仕事の流れのイメージが湧きづらく困っている方も多いと思います。初めて新卒担当に任命された場合は尚更です。
新卒採用は中途採用と比較し、ポテンシャル重視で採用する必要があるため、採用か否かを判断することが難しいという特徴があります。本記事では難易度の高い新卒採用で成功させるための方法を紹介します。
企業が新卒採用を行う目的
新卒採用の目的は中途採用と大きく異なります。
中途採用の場合、応募者の前職や過去の経験を会社の現況と照らし合わせて、足りない部分を補える人材を採用します。新卒の場合、就労経験がないことから、即戦力として活躍することは見込めません。
それではなぜ能力が不明瞭な新卒を採用するのでしょうか。企業が新卒採用を行う3つの目的をご紹介します。
社風を共有しやすい
新卒採用の場合、他の企業を知らないため、社風を理解してもらいやすいといった特徴があります。社風の理解により、会社がどのような働きを期待しているか、求めていることは何かを共有しやすくなります。
計画を立て、教育しやすい
企業は新卒採用で将来のリーダー候補や幹部候補を採用することがあります。ジョブローテーションなど様々な策を講じ必要な経験を積ませることで、将来的には幹部に相応しい人材になるように教育できます。
会社に新たな価値観を生み出すため
似た価値観・同じ世代の人材が多い会社では、考え方が偏りがちになり成長が滞ってしまう可能性が高まります。
新卒採用により、フレッシュな人材を採用することで会社の若返り化を図り、会社に今までになかった考え方を吹き込んでくれることを期待して採用することも多いです。
新卒採用の年間スケジュール
新卒の就活について2017年までは経団連主導で設定されていた新卒採用の年間スケジュールですが、2018年以降は政府主導に変更され、情報解禁時期が遅くなるなど遷移しています。
新卒採用の全体スケジュール
現在、政府は就活を以下のような流れで実施するように要請しています。
- 広報解禁:大学3年次の3月1日以降
- 選考解禁:大学4年次の6月1日以降
- 正式な内定日:大学4年次の10月1日以降
しかしながら、あくまで要請であり、守らなかった場合の罰則もないため、先行して採用活動を実施している企業も多いのが実情です。
企業側の動き
多くの企業では大学3年の6〜8月頃からインターンシップをスタートさせ、2月までインターン期間を設けています。その後、3月から大手新卒採用のナビサイトのオープンにより、学生のエントリー受付を開始。6月の選考解禁後には、すぐに内定を出せるように選考スケジュールを立てているのが一般的です。
新卒採用担当の仕事内容
新卒採用担当の仕事は就活生に対し企業の魅力を伝え、入社してもらうことです。新卒採用は以下のような流れで実施されます。
- 採用計画の立案
- 就活生に企業のことをPRする
- 就活生を集め選考する
- 内定者のフォロー
STEP1.採用計画の立案
採用計画では、以下の項目について決定します。
- 採用人数や予算
- 求める人材像の決定
- 年間採用計画の作成
採用人数や予算は経営側が決定することが多く、新卒採用担当の仕事は求める人物像の決定と年間採用計画の作成です。
社風や会社のニーズにマッチした人物像を決定する必要があるため、会社について適切に把握している必要があります。適宜、社内でコミュニケーションをとり、それぞれの部門でどのような人材を求めているかリサーチし、どのような人を採用すべきなのか、求める人物像を明確にする必要があります。
新卒採用を定期的に行っている企業の場合、大方例年通りにスケジュールすれば良い場合もあります。ただし、政府の要請や自社の状況求める人物像の変化によって、大きく変更しなければならない場合もあるため、情報収集を欠かさない必要があります。
STEP2.就活生に企業のことをPRする
広報解禁と同時に、説明会などを開催し就活生に対し企業のことをPRします。就活生に対し会社を認知し、理解してもらうことが目的です。中小企業の場合、PR活動に力を入れなければ選考にエントリーする人数が少なくなってしまう恐れがあります。
新卒採用サイトや合同説明会など様々な施策を実施し、多くの就活生にリーチできるように工夫する必要があります。
STEP3.就活生を集め選考する
エントリーした就活生をエントリーシートや基礎学力検査、面接などで選考します。
新卒採用担当の仕事の中で最も労力を要する仕事が選考です。一人ひとりのエントリーシートを読み込み、就活生に応じて面接内容を変えるなど、骨の折れる仕事ばかりです。
会社の今後を背負って立つ人材を選択する重要な機会であるため、辛抱強く丁寧に実施する必要があります。
STEP4.内定者のフォロー
就活後、内定を出した就活生に辞退されると、企業にとって大きな損失となります。
学生は複数企業の選考を同時に受けているため、自社に入社してもらえるようフォローを行う必要があります。
座談会を行う、定期的に連絡を取り接点が途切れないようにする、といった内定者のフォロー策を企画・実行するのも新卒採用担当の仕事の一つです。
新卒採用担当が抱えがちな悩み
新卒採用担当になった人には、共通して抱えがちな悩みが存在します。事前に悩みの解決方法を把握しておき、自信を持って採用活動を行えるように準備しておきましょう。
仕事が多すぎる
新卒採用担当は3年のサマーインターンから採用活動を行い、内定者が実際に就職するまでフォローを行います。大学3年生と4年生二期分を同時に対応する必要があり、やることが多くなりすぎてしまいます。
学生だけでなく、面接官となる社員とのやりとりも発生するため、一人で抱える業務が多くなりすぎてしまう場合があるようです。
業務が多いことで面接など重要な業務に十分な時間を割けなくなってしまっては元も子もありません。負担を軽減するために人員を補充する、もしくは重要な業務以外をアウトソーシングするなど対策する必要があります。
応募人数が少ない
中小企業の場合、思うようにPRできず十分な応募人数を確保できないことに悩まされる場合が多いです。
大手ナビサイトに求人を出すだけでなく、自社サイトの採用ページを充実させる、学生に人気のSNSを活用する、ダイレクトリクルーティングを行うなどさまざまなアプローチが必要になります。
自社に適した募集方法を模索し、あらゆる方法で応募人数を集める策を考えてみましょう。
応募が多すぎて大変
応募が多すぎる場合、他の業務に手をつけられなくなったり、一人ひとりを精査する余裕がなくなってしまうなどさまざまな弊害が生じます。特に膨大なエントリーシートの確認作業に骨が折れるという、新卒採用担当者が多いようです。
そのため、エントリーシート上でさまざま工夫をすることで、手間を減らせるようにしている企業もあるようです。
例えば、ある一定以上の文字数を記載しなければエントリーできなくすることで、熱意のある学生のみが残るようにするなどの方法があります。
会社説明会の準備に時間がかかる
会場の確保や就活生に対しての告知、伝えたい内容の整理など準備しなければならないことが多いため、時間がかかります。
また、数百人規模の説明会に必要な紙の資料の印刷、会場の設営・撤収など当日の動きも綿密にシミュレーションしておかなければいけません。
会社説明会で必要なものを事前に全て洗い出し、漏れなく準備できるよう余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。
面接官によって評価基準がバラバラ
面接官によって判断基準がバラけてしまうと、会社が本当に求めている人物を採用できないリスクが生じてしまいます。
人事・面接官・役員と立場の異なる人の間でも共通した採用基準を持てるよう、採用したい人物像をしっかりと言語化しておくことが重要です。
内定を辞退する学生が多い
内定を辞退する就活生は非常に多く、就職みらい研究所が発表した「就職プロセス調査(2022年卒)」によると、2021年卒採用では卒業時点で57.5%、2022年卒採用では、9月1日時点で62.1%が内定を辞退しています。
内定辞退者が出た場合、欲しい採用人数に到達するまで再度採用活動を実施する必要があるため、頭を悩ます担当者が多くいます。
内定辞退者を減らすためには、内定後のフォローを徹底することが重要です。座談会などを通して定期的なコミュニケーションを取り、内定者の熱量をキープしたり、入社後の不安を取り除いてあげることで内定辞退を防ぐことが可能です。
6つの新卒採用の手法
優秀な学生を採用するために、近年はさまざまな手法が用いられるようになりました。より多くの人数に会社を魅力的にPRし、自社に適した学生を採用するためには、さまざまなチャネルを活用する必要があります。
ここでは、定番から最新まで6つの手法をご紹介します。
新卒採用サイト
リクルートやマイナビなどの新卒採用サイトを使用することで、多くの企業で採用されているポピュラーな採用方法です。
2022年卒採用時では、リクルート、マイナビ共に70万人以上の就活生が登録しており、新卒採用サイトを利用することで就活生のほとんどに対し情報発信できます。
数万社が使用しているため、大企業・有名企業に人気が集中し、名前が知られていない中小企業は埋もれてしまうリスクがあります。
就活イベント
就活イベントには、合同説明会やオンラインでの会社説明会などがあります。合同説明会では、会場の1区画をレンタルし、就活生に対し直接自社をPRします。コロナの感染拡大などもあり、オンラインで会社説明会を実施する割合も増加傾向にあります。
イベント出展には会場費用や広告費等を含む料金がかかるため、コスト面での負担が大きい点に注意する必要があります。
インターンシップ
インターンシップには、会社の雰囲気を体験するための短期インターンと、実際に業務を行う長期インターンの2種類があります。
インターンシップは広報解禁前に実施されることが多く、早い時期から学生に対し接触を図れる点はメリットの1つです。また、長期インターンの場合、業務を行う態度や実力を加味し、そのまま採用することも可能です。会社とのミスマッチを防げるため、多くの企業で導入されています。
長期インターンの場合、参加した就活生に対し、業務内容を指導するなど手間がかかる点が最大のデメリットです。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、データベースに登録された就活生の中から企業の求める人物像に近い人材に対し、直接アプローチする手法です。
ターゲットとなる人材に、企業側から直接アプローチできるため、求めている人物像が明確になっている場合は特に効率よく採用を行うことができます。
ただしリーチできる人数が少なく、場合によっては人材を確保できない可能性があることに注意する必要があります。確実に確保したい場合は、少し緩めにターゲティングを行うなどの策を講じる必要があります。
大学の就職課
大学の就職課は、大学や学部を絞り込んで採用活動を行える点や、コストがほとんどかからない点がメリットです。
ただし、大学側との信頼関係を築く必要があり、1からコネクションを作るにはある程度の時間や労力がかかることを覚悟しておきましょう。
まとめ
新卒採用担当は、採用計画の立案から内定者フォローまで、二期分の採用スケジュールを同時並行しなければならず、多くの悩みを抱えがちな職種です。トレンドの移り変わりの早い学生を相手にするため、採用手法もそれに合わせて変更するなど、情報収集も欠かせません。
しかし、採用した人材が成長・活躍していく姿を見られるという、やりがいの大きな仕事でもあります。 初めて新卒採用担当になった方は特に、仕事内容や採用手法などを予習しておき、会社に貢献する人材を発掘できるよう準備を進めましょう。
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