2020/12/25
大副業時代の先には「退職」概念がなくなる
企業はモノクロ組織からカラフル組織へと転換することが鍵
〜株式会社あしたのチーム、「副業と企業組織」に関するレポートを発表〜
人事評価サービスを提供する株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長CEO:赤羽 博行、以下あしたのチーム)は、「副業と企業組織」に関するレポートを発表いたしましたので、お知らせいたします。
■「副業と企業組織」に関するレポート:https://www.ashita-team.com/news/20201225-2/
■大副業時代の副業は「転職」や「市場価値向上」は手段へと変化
副業が注目される中、日本経済新聞の調査(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO6679616030112020000000/)では、「転職希望者の8割強が副業に前向き」という結果が明らかになりました。これは、裏を返せば副業に興味を持っている人は転職希望者であるということが言えますが、この調査の中でもう一つの興味深い結果として、副業の目的として「スキルアップなど自身の成長」が目立つという点にあります。このことは、転職をする前に副業から始めようと考えている人が多いということや、スキルアップなど、自身の人材価値を高める手段として副業を考える傾向が強いことを表しています。
また、副業を解禁した大企業の例が話題となりましたが、このケースは業績悪化によるものも多くありました。新型コロナウイルスにより大打撃を受け、人材を抱えることに苦悩した大手企業がその一時的な措置として副業を推奨し、社員の経済的問題を解決するとともに退職ではなく副業とすることで自社に人材を確保する目的とした活用が目立ちました。
これらの流れから、副業から転職に向かう理由として、会社への不満からというものが一点。また、他社での就業を余儀なくされて実施した副業により、新たな自分の可能性に触れたことによる転職願望の二点があります。
このように、副業が「市場価値向上」の手段になりつつあることと、大手企業の副業解禁により、副業が「転職」へと繋がりやすくなっているのです。
■副業に対する正しい認識が副業を加速させる
また、今後副業を語るうえで「パワフル副業者」というキーワードが存在感を増すでしょう。パワフル副業者とは、本業以上の収入を副業で稼いでいるワーカーを指します。彼らの働き方はリモートワークが中心です。
2020年は、テレワークやジョブ型雇用が台頭するなど、日本の主流だったメンバーシップ型雇用が転換期を迎えているという議論が増えました。この背景は生産性とセットで語られることが多いですが、パワフル副業者の存在は、優秀な人材を市場価値以下の収入で働かせていたという事実の裏返しでもあるのです。
パワフル副業者は、副業というワンクッションの市場価値によって収入を得ていき、その先には転職や起業もあるでしょう。また今は一般的に「転職=転社」という意味で捉えられていますが、これからの転職は今の仕事から違う仕事に転ずるという意味での転職へ、さらに副業によって自身の仕事の幅を広げるという意味で、副業も転職といえる時代になると考えています。
法制度上も、企業は合理的な理由がない限り副業を禁止することはできません。しかし、認識されている実態は異なります。当社が2020年12月に行った調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000254.000025661.html)によると、副業を行っていない理由(n=111)として、34.2%が「会社の制度として認められていないから」という回答となりました。
また、合理的な理由がない限り副業は企業が禁止できないことを知らない(n=111)という回答は、75.7%にのぼっています。
それらを踏まえ、副業が会社の制度として認められていない会社員で企業は副業を禁止できないことを知らなかった会社員に、「Q4.この実態を踏まえ、副業への気持ちは高まりましたか。」(n=29)と質問したところ、約8割が「副業への気持ちが高まった」と回答となりました。
前述した大手企業での副業解禁はあるものの、多くの企業ではまだまだ制度上認められていない実態、一方で法制度上は原則禁止できないという認知がされていないことが日本の現状です。これらの認識が高まれば、より副業の流れは加速するでしょう。
またここで鍵となる層は20代です。年功序列型の雇用システムでは年収が抑えられている20代の年収が、入社2~3年目で400万円であった場合、その額を副業で超えるケースが出てくれば、影響を受け副業が活性化するでしょう。同時に副業が一般化することでスキルの向上や新たな適職との出会いの機会が増え、転職が活性化されると予想されます。
また、転職の動きが進む一方で、企業によっては副業を積極的に認めることで、社員の「退職」ではなく、例えば週に1日だけ自社に関わりを持ち続けてもらう、というような関係も出てくるでしょう。本人が別のフィールドを希望しても、自社との関係を継続的に持ち続けることも出てきています。これはつまり、副業の先には「退職」という概念がなくなると言えるでしょう。
■企業はモノクロ組織からカラフル組織へ転換することが鍵
一方、企業や人事目線になってみれば、副業や大転職時代に負けない就業環境、つまり脱日本型雇用システムによって、より魅力的な企業にならなければ優秀な人材からは選ばれません。
日本型雇用システムにおいては大企業側のほうが立場が強いため、魅力的な人事制度を施さずにいた現状がありました。しかしパワフル副業者が生まれ、その流れが若手優秀人材に浸透してきたときには、雪崩を打ったように転職が進んでいき、立場の逆転が起こるでしょう。手を打たなければ取り残されてしまいます。
逆説的に先進的な企業は、副業をオープンに認め、対等な立場で切磋琢磨しようとします。適切な環境を提供できる柔軟な人事制度を持っている会社が、これからも優秀な労働力を確保していける状況となるでしょう。
今まで正社員一辺倒の組織であった「モノクロ組織」から、多様な人材を認め、集められ、生産性を向上できる「カラフル組織」へと転換することがこれからの鍵となるでしょう。
■株式会社あしたのチーム会社概要
代表者 :代表取締役社長CEO 赤羽 博行( https://www.ashita-team.com/ )
本社所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX11F
事業内容 :・報酬連動型人財育成プログラム「ゼッタイ!評価®」
・人事評価クラウド「あしたのクラウド™HR」
・目標設定プログラム「あしたの履歴書®︎」
資本金 :1億円(資本準備金含む)
設立 :2008年9月25日