2024/10/15
【30歳以下の若手管理職に関する調査】Vol.2 部下との関わり方編
Z世代社員のやる気を引き出すのに有効なのは? 1位「褒めて自信を持たせる」49.1%。
褒めて伸ばすにも、「人前で褒める」・「大げさに褒める」のは逆効果と判明!
“年上の部下”のマネジメントで苦心すること、トップは「働き方の価値観の違い」32.3%。
人事評価制度の構築・運用・クラウド化で “人と組織の成長” を支援する株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:赤羽博行)は、国内中小企業の組織課題や実態の把握を目的に、30歳以下で管理職2~3年目の若手管理職を対象に調査を実施しました。中小企業の未来を担い、変えていく、30歳以下の若手管理職を「新しい会社のリーダーズ」と名付け、彼らの意識・実態やマネジメントの悩みなどを調査し、その結果を全3回で発表します。
第2弾となる今回は「部下との関わり方」に関する調査結果を公開します。いわゆる“Z世代”に近い年代の若手管理職「新しい会社のリーダーズ」だからわかる、Z世代社員との付き合い方が調査により明らかになりました。
この結果について、これまで多くの中小企業の組織づくりを見てきた当社代表取締役社長CEO赤羽博行より解説させていただきましたので、ご参照ください。
■第1弾調査リリース(「新しい会社のリーダーズ」の人物像)はこちら
■調査トピックス
●Z世代社員のやる気を引き出すのに有効なこと、トップは「褒めて自信を持たせる」49.1%。
●Z世代社員とのGOODコミュニケーションは「褒めて伸ばす」、「部下の話を最後まで聞く」。
●Z世代社員とのNGコミュニケーションは「感情的な指導」。叱られることに慣れていないと指摘。
「褒めて伸ばす」が大切だが、「人前で褒める」・「大げさに褒める」のは逆効果と判明!
●「プライベートについて聞く」「やたらと飲み会を開く」など仕事とプライベートを区別できない上司は嫌われる!?
●“年上の部下”のマネジメントで苦心すること 1位「働き方の価値観の違い」32.3%。
●7割以上が、男性部下/女性部下で異なるマネジメントの難しさを実感。
■調査概要
1. 調査方法:インターネット調査
2. 調査対象:全国の企業に勤める30歳以下の正社員男女、
部下のマネジメント経験が2年以上4年未満で、直接マネジメントする部下が2名以上いる方
3.回答数:216サンプル(男性:143人、女性:73人)
4.調査実施日:2024年7月10日(水)~15日(月)
※本資料におけるグラフの百分率は小数点第2位以下を四捨五入して表記しています。そのため、グラフの数字の合計が100%とならない場合があります。
■Z世代社員のやる気を引き出すのに有効なこと、トップは「褒めて自信を持たせる」49.1%。
昨今はコンプライアンスやハラスメントといった言葉が脳裏にちらつき、上司が若い社員とのコミュニケーションに消極的になってしまうという話もよく聞かれます。そこで30歳以下の若手管理職「新しい会社のリーダーズ」に、ほぼ同世代だからこそわかる、“Z世代”と言われる若手社員のマネジメントのコツを聞きました。(この調査では27歳以下を“Z世代”として聴取しています。)
Z世代社員のやる気を引き出すのに有効だと思うことの1位は「褒めて自信を持たせる」49.1%、2位は「『期待している』と励ます」41.2%、3位は「確実にこなせる難易度の仕事を与える」40.7%で、ポジティブなフィードバックに関する項目が上位に並びました。
Q. あなたがZ世代の社員のやる気を引き出すのに有効だと思うことをお答えください。(複数回答、n=216)
※目安として27歳以下を“Z世代”として質問しています。
■Z世代社員とのGOODコミュニケーションは「褒めて伸ばす」、「部下の話を最後まで聞く」。
Z世代社員と上の年代の社員が良好な関係を築くために効果的だと思うコミュニケーションの取り方を聞きました。前問の「やる気を引き出す方法」と同様に、「褒めて伸ばす」などポジティブな感情を共有するコミュニケーションが効果的なようです。具体的な業務上の対話の仕方として多く挙げられたのは「よく話を聞き」、「状況に応じた対応をする」ということでした。部下から相談を受けた時、上司は自身の知識や経験から、部下の話に先回りして「ああ、それはね…」と話し始めがちではないでしょうか。しかしZ世代社員とのコミュニケーションでは、部下の話を遮らずに最後まで聞くことが重要であるようです。そして、いま必要な情報だけを教えるのが良いこともわかりました。
また、チャット形式のコミュニケーションツールでは、一言でもスタンプだけでも即レスするのが良さそうです。「見てくれた」とわかることで、部下は安心するのではないでしょうか。
Q. Z世代の社員と良好な関係を築くために“効果的だと思うコミュニケーションの取り方”をお答えください。(自由回答、n=216)
●褒めて伸ばす。できなくても責めない。(30歳女性、金融業・保険業)
●一人ひとりの話を聞く機会を設ける。褒めたり叱ったりするときは個別に。(30歳女性、製造業)
●部下の話を良く聞き、何を考えているのかを理解するようにする。(28歳男性、教育・学習支援業)
●簡単に答えを教えるのではなく、自分の口で答えを言わせるように誘導する指導の仕方。(29歳男性、卸売業・小売業)
●余分なことは話さず、必要なことを端的に教えるようなコミュケーションの取り方が良い。(24歳男性、医療・福祉)
●時間がかかっても事実確認をきちんとすること。(29歳男性、医療・福祉)
●チャットの質問に即時返答できずともリアクションはしてあげること。(26歳男性、情報通信業)
■Z世代社員とのNGコミュニケーションは「感情的な指導」。叱られることに慣れていないと指摘。
「褒めて伸ばす」が大切だが、「人前で褒める」・「大げさに褒める」のは逆効果と判明!
■「プライベートについて聞く」「やたらと飲み会を開く」など仕事とプライベートを区別できない上司は嫌われる!?
Z世代社員と良好な関係を築くためにNGだと思うコミュニケーションの取り方を聞いたところ、「褒める」「叱る」のどちらも「人前で」はNGということが明らかになりました。まずZ世代社員は社会人になる前に叱られる経験が少なかったため、一対一であっても感情的な態度や厳しい言葉での指導は良くないようです。先の設問でZ世代社員のやる気を引き出すには褒めることが有効という回答でしたが、褒めるのも人前では良くないことが判明しました。
ほかには、私的なことについて聞いたり、むやみに飲みに誘って終業後の時間を拘束したりするなど、仕事とプライベートを区別しない対応も嫌がられるようです。
Q. Z世代の社員と良好な関係を築くために“NGだと思うコミュニケーションの取り方”をお答えください。(自由回答、n=216)
●自分含め、叱られる経験をあまりしてこなかった世代だと思うので、感情的になって指導することは好ましくないと思う。(24歳女性、卸売業・小売業)
●やたら盛り上げたり大々的に表彰したりすると、一部社員のやる気には繋がるが、そうでない者との差が広がるリスクの方が大きい。(24歳男性、生活関連サービス業・娯楽業)
●人前で大げさに褒める行為。プライベートについて詳しく聞く行為。(24歳男性、その他の業種)
●仕事とプライベートのメリハリがない対応はNG。(28歳男性、教育・学習支援業)
●飲み会をやたらと開くのは無意味。会社の愚痴が増える一方である。(26歳男性、卸売業・小売業)
●仕事のことで自分の時代はこうだったという話は基本的にNG。(24歳男性、医療・福祉)
●女性社員を「ちゃん」付けで呼ぶこと。(29歳女性、製造業)
●見た目のことを言うこと。(30歳女性、宿泊業・飲食サービス業)
■“年上の部下” のマネジメントで苦心すること 1位「働き方の価値観の違い」32.3%。
若くして管理職になった「新しい会社のリーダーズ」には“年上の部下”もいると考えられます。年上の部下との関わりで難しさを感じることの1位は「働き方の価値観の違い」32.3%でした。30歳以下の若手管理職は社会人になってから働き方改革やワーク・ライフ・バランスの考え方が当たり前にあった世代です。だからこそ会社からも働き方改革推進を期待されると考えられますが、年上の部下とは働き方の価値観の共有に苦心していることがわかりました。
Q. あなたが “年上の部下”のマネジメントで難しさを感じることをお答えください。(複数回答、n=192)
※“年上の部下”がいる方
■7割以上が男性部下/女性部下でマネジメントの難しさに違いがあると実感。
部下の性別によってマネジメントの難しさに違いがあると思うかについても聞いてみました。その結果、「そう思う」38.4%、「ややそう思う」37.0%と、7割以上が男性の部下と女性の部下、それぞれのマネジメントの難しさを感じていることがわかりました。男性リーダーと女性リーダーで回答割合に大きな差はありませんでした。具体的にどのような難しさがあるかの回答を見ると、男性の部下・女性の部下、それぞれの特性を分析して対応しようとしていることがうかがえます。個人の特性による部分もあり一概に男女の違いとは言えませんが、一人ひとりの部下が納得して仕事に取り組めるようなマネジメントに努めていることがわかりました。
Q. あなたは部下の性別によりマネジメントの難しさに違いがあると思いますか。(単数回答、n=216)
※異性の部下のマネジメントの難しさではなく、部下の性別によるマネジメントの難しさについてお答えください。
Q.部下の性別によりどのようなマネジメントの難しさの違いを感じるか、具体的にお答えください。(自由回答、n=163)
※前問で「そう思う」「ややそう思う」と回答した方
●言葉遣いや適切な距離感を性別によって選ぶ必要があり難しいと感じる。(30歳男性、製造業)
●男性は競争心が強く、意見の対立が激しくなることがある。女性はチーム内での感情の共有が重視され、対人関係の問題が表面化しやすい。(28歳女性、製造業)
●女性は論理的思考で行動するのに対し、男性は気合いタイプが多いので行動が目標達成していない場合の伝え方が難しい。(26歳男性、不動産業・物品賃貸業)
●男性は理屈で納得する。女性は理屈に納得はするがそれだけでは不満が残る。(26歳男性、情報通信業)
●女性は男性に比べて体調への気遣いが難しい。(27歳女性、医療・福祉)
■「上司が自分を見てくれている」、その安心感が若手社員の挑戦・成長につながる。
企業は社員一人ひとりが「パフォーマンスを発揮し、輝ける状態」を見いだす支援を。 ― 赤羽博行
いわゆる “Z世代”の社員のやる気を引き出すために「褒めて自信を持たせる」のが良い、しかし「人前で褒めるのはNG」という調査結果は、上の世代のみなさんには驚きの事実ではないでしょうか。以前は「叱る時は一対一で、褒める時はみんなの前で」というのが定石でした。近年の若手社員はSNSの経験などから「賞賛される人と自分とを比べて落ち込んでしまう」といった感情が誰にでもあることを共通認識として持っていると考えられます。そのため人前で褒められると、誇らしさよりも先に周囲への影響を懸念し、戸惑いを感じてしまうのかもしれません。人事領域の認識や方法論を常に更新し続ける重要性を改めて実感します。
Z世代社員のやる気を引き出す方法の3位「確実にこなせる難易度の仕事を与える」40.7%は、「難易度の高い仕事を与える」25.5%と比べて回答割合に15ポイント以上の差がありました。若い社員はいきなり高い壁に挑戦するよりも、確実に登れる壁を達成し、上司に褒めてもらう、つまり承認されることでやる気を出しやすいことがわかります。
人材育成の観点では上司が部下のレベルを見極め、壁の高さを少しずつ上げて成長を促すことが重要です。一人ひとりの部下をよく観察し、継続してフィードバックすることが不可欠ですが、「上司が自分を見てくれている」、「困ったら相談できる」と感じられることが部下の心理的安全性につながり、難しい仕事にも思い切って挑戦できると理解している「新しい会社のリーダーズ」は、上手に部下の成長を導くことができると思います。それが自身の成長、ひいては会社全体の成長にもつながることでしょう。
このように一人ひとりの社員が「良い状態で仕事のパフォーマンスを発揮できるのはどんな時・どんな環境か」を明らかにすることで、個々の能力・生産性を最適化・最大化し、自律的な成長を促す仕組みを「パフォーマンスマネジメント」といいます。若手管理職はすでに気がついているように、企業が人事面談や定期的な1on1を通じて社員一人ひとりに向き合い、「あなたが輝くチャンス」を見いだすキャリア支援をすることで、社員の可能性が開花し、人と組織がポジティブなスパイラルで成長できると考えています。
■株式会社あしたのチーム 代表取締役社長CEO 赤羽 博行
大学卒業後、オービックビジネスコンサルタントを経て創業から間もないベンチャーコンサルティングファームでディレクターに就任。完全年功序列の大手企業・完全実力主義のベンチャー企業、双方での経験を活かし、2009年に設立直後のあしたのチームへ社外取締役として参画。
2020年11月より代表取締役社長CEOに就任。数多くのコンサルティング現場で感じた「大半のビジネスマンが頑張りを正当に評価されず、本来の力を発揮できていない」という現実を変えるため、
『人事評価制度を通じた日本の働き方改革と生産性向上』に全てを捧げ奮闘中。
■会社概要
会社名 :株式会社あしたのチーム(https://www.ashita-team.com)
代表者 :代表取締役社長CEO 赤羽博行
所在地 :東京都中央区銀座6-10-1
事業内容:・人事評価制度の構築・運用「あしたのチーム®」
・人事評価クラウド「あしたのクラウド® HR」
・1on1コーチング「あしたのコーチ™」
・パフォーマンスマネジメントプラットフォーム「Cateras™」
設立 :2008年9月25日
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