日本は、少子高齢化や生産年齢人口の減少、生産性向上の低迷などが原因で、経済成長に足踏みが見られます。そこで、日本人の働き方の意識や制度の変革を行う取り組みが行われています。2017年3月には、働き方改革の実行計画がまとめられ、政府は2019年度からの実現化を目指しています。働き方改革実行計画の主な内容や、知っておくべきポイントについて紹介します。
9分野の改革の方向性
働き方改革にあたって、2016年9月には実現会議が設置され、総理が有識者とともに労働に関するあらゆる問題の改善を検討してきました。現在では、以下の9つの分野で大まかな方向性が決定されています。
・ 非正規雇用の処遇改善
仕事ぶりや能力が適正に評価されるよう、同一労働同一賃金を導入する。
・ 賃金引き上げと労働生産性向上
最低賃金を年率およそ3%に引き上げ、全国加重平均が1,000円になることを目指すなかで、中小企業や小規模事業者の生産性向上に向けた支援や取引条件の改善を図る。
・ 長時間労働の是正
時間外労働の上限違反に罰則を設け、勤務間インターバル制度導入の努力義務を事業者に課す。
・ 転職・再就職支援
転職者を受入れた企業への優遇措置を拡大し、各企業の情報提供を強化する。
・ 柔軟な働き方
雇用型テレワーク普及に向けてガイドラインの改定や労働時間管理の仕方を整理し、また合理的な理由なく副業や兼業を制限することはできない旨をルールとして明確化する。
・ 女性・若者の人材育成や環境整備
学び直しの機会を拡充し、国家公務員の配偶者に関する扶養手当の見直しなどを行う。
・ 高齢者の就業促進
65歳以降の継続雇用のために企業の受入れ体制を整備し、病気の治療と仕事の両立に向けて支援コーディネーターなどのサポート体制を構築する。
・ 子育て・介護と仕事の両立
保育士資格の新規取得者の確保に向けて保育士・介護職員の賃金や待遇を改善し、男性の育児参加を促進していく。
・ 外国人材の受け入れ
国の経済全体の生産性を向上させるために、高度な技術、知識を持った外国人材をより積極的に受入れる。
>>2019年4月の労働基準法改正で、気を付けるべき「働き方改革」のポイントとは?
非正規雇用の処遇改善
現在の日本の非正規雇用労働者は全体の4割を占めており、非正規雇用の処遇改善は働き方改革において重要なポイントの1つです。特に、欧州などと比較すると日本の正規雇用労働者と非正規雇用労働者では処遇の差が大きいと言われており、格差を是正するために「同一労働同一賃金」の実現が期待されています。
「同一労働同一賃金」では、仕事ぶりや能力の適正評価を行うことで、非正規労働者の働く意欲を促進させる効果があり、将来的に政府が発表した以下のようなガイドラインで法律の整備が進められます。
・ 基本給の均等化
正規・非正規雇用にかかわらず、労働実態が同一であれば基本給を均等にする。
・ 各種手当の均等化
ボーナスや各種手当も、基本給と同様に実態が同一であれば正規・非正規雇用にかかわらず均等にする。
・ 福利厚生や教育訓練の均等化
食堂や休憩室の利用や健康診断に伴う勤務免除、転勤者用社宅などの利用機会を均等にする。
・ 派遣元事業者による派遣労働者の取り扱い
派遣元事業者は、派遣先企業と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練を実施する。
長時間労働の是正
仕事と子育て、介護などを両立させるためには、長時間労働を是正する必要があり、時間あたりの生産性を向上させる必要があります。働き方改革実現会議では、特にこの分野の検討に時間がかけられています。
まず、時間外労働を規制する36協定では罰則や強制力が存在しないため、法改正することによって強制力を持たせ、時間外労働が可能となる条件をより細かく規定しました。
さらに、職場環境の整備として、パワーハラスメントやメンタルヘルス対策を検討して政府目標の見直しを行うほか、法改正によって前日の就業時間と翌日の始業時間との間に一定時間の休息を確保する努力義務を課すことが決まっています。
ただし、これらの取り組みは時間を掛けてゆっくりと行い、急激な変化による企業に対する弊害を避けるよう検討されています。
10年先を見据えたロードマップ
働き方改革の実行計画は、2016年から業界関係者や有識者によって少しずつ進められてきました。今後は、より具体的な施策の提案や、実行する期日について検討される予定です。これまでの日本は、長時間労働の文化が根強く、非正規雇用労働者を安く利用することができましたが、働き方改革はその文化が大きく変化するきっかけになると言えるでしょう。
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