大手広告代理店で発生した、過剰な時間外労働による若手社員の過労自殺問題を機に、長時間労働に対する世間の批判が強まっています。そういった中で政府は「働き方改革」に乗り出しました。原則として残業(時間外労働)は月45時間(繁忙期は100時間未満)とし、年間720時間を上限とする労働基準法の改正が行われようとしています。
こうした中、企業にはどういった変化が起こるでしょうか? 当然ながら、限られた時間で他の社員よりも高いパフォーマンスを発揮できる人材を求めることになるはずです。そして、そういった人材は市場価値もおのずと高くなり、キャリアの選択肢も増えていくことになるでしょう。
「脱時間給」の先には「成果主義」へのシフトが
このような「脱時間給」に向かう動きに先駆けて、すでに日本でも浸透してきたのが「脱年功給」です。言い換えれば、これからの日本企業では就業時間や勤続年数が賃金に反映されず、「成果主義」へと移行していくわけです。とかく「働き方改革」は働く時間の短縮ばかりがクローズアップされがちですが、その一方で「生産性を向上させる」ことも目標として掲げています。
企業は確実に、従業員に「生産性の向上」とさらにその先の「成果」を求めるよう変化しているのです。
働く人の目線で考えてみましょう。「成果主義」に基づいた人事制度においては、具体的にどのような評価が下されるのでしょうか?
たとえば、同じ年収480万円であっても「(所定内労働時間170時間+1カ月当たりの残業30時間)×12カ月」なら、計2,400時間に対する報酬なので時給は2,000円です。しかし、2,400時間を2,000時間に短縮できれば、時給は2,400円に上昇することになります。
つまり、実質的には賃上げを実現できることとなるのです。国はこうした動きが促進されるような法整備を推進していこうと考えており、それを受けた企業側の動きもすでにうかがえます。
今や勤労者全体の4割に達する非正規雇用者ですが、その中で本当は正社員になることを望んでいる人たちは少なくありません。そういったニーズに応えるとともに、社内における生産性の向上も図る取り組みを行っているのが家具小売世界大手の日本法人であるイケア・ジャパンです。
日本経済新聞の記事によれば、同社は全社員の7割に相当する約2,400人のパート社員に対し、2014年9月から職務遂行能力の向上を図ると同時に、その成果に応じて正社員に登用する方針を打ち出したそうです。これを機に張り切って仕事のスキルを磨いた人は待遇が改善したでしょうし、パート契約のままがよい、と判断した人もいたことでしょう。
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チャンスと捉えれば、収入のアップも夢ではない
つまり、非正規社員という出発点は同じであっても、考え方ややる気次第で賃金や待遇に格差が広がっていくのが「成果主義」です。生産性の向上を追求していくと、賃金の上がる人と上がらない人に明暗がくっきりと分かれていくわけです。年収の面では、大きく年収1,000万円の層と、年収600万円の層、年収300万円という層といった3つに分かれてくることも考えられます。
最もボリュームが大きくなるのは、年収300万円の層となるかも知れません。いずれにしても、終身雇用・年功序列で横並びのまま1億総中流で生きてこられた時代は終わりを告げました。
さて、あなたはこうした変化をピンチと捉えますか? それとも絶好のチャンスと思って胸を躍らせますか? 不安に苛まれてしまう人も少なくないでしょうが、物事は違う角度からも見つめ直してみるべきです。
仕事に対する評価の変化、それは日本の社会がさらに成熟するとともに、新陳代謝によって新たなダイナミズムが発生していることの証左でもあると言えるのではないでしょうか。そして、そのような変革途上においては、成果を上げて収入を増加させる人も現れると予想されるのです。
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