2019年10月に消費税が10%に引き上げられます。過去2回の引き上げとは異なり、今回は新しい制度である軽減税率制度の導入もあります。企業はその影響を考えながら対策を講じる必要があります。ここでは、中小企業が準備しておくべき対策を紹介します。
消費税増税はいつから?
消費税は、2019年10月に現行の8%から10%へ引き上げられます。1989年にはじめて消費税が導入されてから、1997年に3%から5%へ、2014年に現在の8%に引き上げられました。
8%から10%への増税決定までには、景気への影響などから2度にわたり延期がありました。しかし、政府は2018年10月の臨時閣議で、翌年10月に消費税を10%に引き上げることを正式に表明。駆け込み需要や反動減などの影響が出ると予測されていることから、政府はさまざまな経済対策を講じる意向も示しています。
消費税増税に向けた中小企業の対策
中小企業の消費税増税対策で基本的に注意しなければならない点は2つあります。
1.売上目標の想定
1点目は、売上目標を想定するときに、2019年10月増税前には消費者の購買意欲が高まることによる売上上昇が見込まれる点と、逆に増税以降は反動減による売上減少を考慮する必要があるでしょう。
前回8%への増税時には想定以上に個人消費が低迷し、経済に大きな影響が出ました。今回の増税対策には、過去の増税時のデータも活用できるでしょう 。
2.税率について
注意点の2つ目は、増税のタイミングをまたぐ発注や仕入れに掛かる税率についてです。
企業が他の業者に発注して納品されるものについては、消費税が8%になるのか10%になるのか、しっかりと期日管理を行う必要があります。消費税適用のタイミングは、発注ではなく納品となります。
企業が必要とするものは、ほとんどが発注してから納品まで時間がかかるわけですから、納品日はしっかり管理しておくことが大切です。ただし、リース契約の場合はリース開始時の税率が適用されるなど、留意しておく点もあります 。
2019年10月の増税では、「軽減税率制度」が導入されます。過去の増税と大きく違う新しい制度の導入によって、企業が講じるべき対策も変わってきます。以下に、軽減税率制度の概要と、それに伴う企業の対策について見ていきましょう。
軽減税率制度とは
軽減税率制度とは、2019年10月の消費税増税の際に導入される制度で、特定の品目については、消費税を10%に引き上げず8%のままにするという制度です。
軽減税率制度は、消費者への増税の負担を緩和するために考えられた制度です。増税が行われない特定の品物には、「酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの) (国税庁ホームページより)」が指定されています。
軽減税率制度によって発生する8%と10%という2つの税率に対しては、外食企業や食料品関連企業だけが影響を受けるわけではなく、他産業の多くの企業にも関係してきます。
例えば、催し物やイベント、営業会議などで、飲食料品を買わない中小企業はないでしょう。顧客への贈答品として購入する飲食料品は軽減税率の対象となりますが、酒類の場合は10%の消費税率が適用されます。テイクアウトや宅配した飲食料品は軽減税率の対象となりますが、外食の場合は消費税10%が適用されます。
さらに、経理業務においては複数の税率に対応した請求書の発行や保存が必要になります(インボイス制度)。2019年10月から4年間は経過措置が設けられますが、会計システムの変更や業務フローの見直しなどが発生するため、経理部門の負担増が懸念されます。
消費税増税対策を早めに検討する
過去数回にわたり増税が行われた時の消費税対策に加え、2019年10月の対応は、軽減税率制度への対応が発生します。過去の増税の時にはなかった対応が必要になるため注意しなければなりません。
8%と10%の2つの税率を管理しなければならないことは、経理業務の増加や経理システムの見直しにも影響を与えます。さらに経理書類や事務作業に変更が生じることを、全部門に連絡して周知しておく必要もあります。
期限が迫ってきていますので、早めに対策を検討しなければならないでしょう。
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