「PDCA」という言葉を聞いたことがありますか?PDCAサイクルとも言い、業務を円滑に進める方法です。サイクルとあるように「Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Act(改善)」の4段階を繰り返すことで業務を改善し、仕事をスムーズに進めようとするものです。生産や品質などの管理業務でよく用いられ、業務改善が継続的に行われています。徹底したPDCAの実践ではトヨタ生産方式が有名ですが、組織の生産性向上に欠かせないPDCAを詳しく見ていきましょう。
PDCAサイクルの流れ
PDCAサイクルは改善できそうなモノやコトに関して、計画して実行します。結果を評価し、改善点があれば再び実行します。そして、結果を検証し、さらなる改善が見込める場合は、再度計画を立てて改善を行うフローを繰り返すのです。
業務の改善計画を立てる場合には、明確な目標を設定します。その時に大切なことは、具体的な数値で表すことです。仮に生産性が低い項目があれば、「生産性を30%アップする」などと設定します。
PDCAサイクルの内容
次にPDCAサイクルの具体的な内容について確認してみましょう。
●Plan(計画)-改善目標の設定と計画立案
はじめに改善すべき項目をリストアップし、メンバーやチーム単位で改善計画を立てます。改善すべき数値目標は、具体性があるほうが効果的です。
次に、計画を行う項目ごとに細分化し、工程表を作ります。担当者を決めて、何をいつまでにやるという計画を設定します。
●Do(実行)-計画を実行
設備の生産性向上を目指すケースを想定すると、機械の運転データを入手し、運用方法などから生産性が低い原因を調べます。
ヒト、モノ、環境、システムのうちどの項目が生産性の低さの原因となるのかを判定します。その中からあるべき姿と乖離している部分を見つけ出し、その差分を数値化します。数値化できない場合は、状況や様子などでも代用できます。
●Check(確認)-改善点を探求
集めた数値データから生産性を下げている原因を見つけ、改善の余地がある項目を探ります。あらゆる角度から考えられる生産性低下の理由を洗い出します。スタッフ全員で可能性を出し合い、原因を特定したら具体的な改善法を考えます。
●Act(改善)-改善の実施
改善方法が決まったら、具体的な行動に落とし込みます。最初のデータと比較して、どれだけ改善されたかを検証しましょう。さらに改善すべき課題があれば、次の計画を立ててPDCAサイクルを回すことになります。
生産を効率化するトヨタ生産方式
PDCAサイクルを取り入れ、上手く活用している実例としては、トヨタ自動車が生み出した「トヨタ生産方式」が有名です。
基本はムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除してコストを下げ、生産を効率化することを目的としたPDCAの実践です。今や日本国内や自動車産業だけでなく、世界中の製造業や非製造業、公的機関にまで導入されています。
●Plan(計画)
トヨタは1980年代にアメリカへ進出しました。当時、ホンダや日産に出遅れていたトヨタはアメリカ市場での競争力を強化するため、生産を効率化するトヨタ生産方式を現地工場に導入する計画を立てました。
●Do(実行)
生産現場のムダをなくすため経費削減を目指しました。良いモノだけを効率良く作るため、各工程に必要なモノを、必要な時に、必要な量だけ、遅滞なく生産することで生産を管理しました。異常発生時には不良品を連続して製造しないよう、自動的に機械が停止する方式を採り入れました。
●Check(確認)
現場作業員と管理者が一緒に問題を検証します。不良品の発生や作業中に問題の兆候があればラインを停止し、現場作業員が支援を要請します。停止するとライトが点灯しトラブル発生場所を知らせ、管理者が駆け付けて共同で問題を解消して復帰させました。
●Act(改善)
ライン労働者や技術者、管理者が常に生産工場で協力し合います。毎日、改善を提案し可能なことはすぐに採り入れました。市場の変化に対応するために早期にムダや問題点に手を打ち、品質や生産性の向上で取引先や顧客との信頼関係を構築しました。24時間、365日対応するコールセンターによるカスタマーサポートや故障時の丁寧な修理サービスなど、手厚いサービスの提供で顧客満足度を高めていきました。
バブル経済絶頂期の1988年頃、日本経済の異変を察知したトヨタは、いち早く構造改革に乗り出しています。多くの日本企業がビジョンを失い、問題を先送りしていたバブル崩壊後にも、地道に抜本的な組織改革を進めました。いち早くグローバル化にも対応したことで、やがて世界一の自動車メーカーに上りつめたのです。
PDCAサイクルを回せば大きな効果
PDCAサイクルの過程で、コストが必要となる場合には、予算を立てます。予算化できない場合は、投資することで改善できる生産性向上の効果を算出します。これをもとに予算を立て、通った段階で次のPDCAを開始するのです。大切なことは工程と実施状況に常時目を配り、PDCAサイクルを遅らせないことです。
次の予算を決める時期に間に合わないと、最も大切な改善に着手できないからです。
このようにPDCAサイクルを回せば業務改善が進み、いずれ大きな成果となって企業や組織に返ってきます。
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