消費税10%への増税による中小企業への影響とは

(写真=enciktepstudio/Shutterstock.com)

2019年10月から消費税が8%から10%に引き上げられることになりました。
今回の増税は前回と違い軽減税率もあるため、消費税の仕組みをしっかりと把握する必要があります。ここでは、消費税の中小企業への影響や、新たな消費税の仕組みについてご紹介します。

中小企業に目立つ消費税増税への対応遅れ

消費税率のアップは、事前に駆け込み需要が発生し、引上げ後には顧客から増税分の値下げ要求や購買意欲の低下が起こりえるなど、中小企業にとっては少なくない影響があります。

例外として、課税売上高が1,000万円以下である「免税事業者」は、引き続き消費税を納める必要がないため影響は出にくいでしょう。

とはいえ、取引をする以上新しい消費税に対応しなくてはなりません。
東京商工リサーチが2018年10月に発表した調査結果では、中小企業の63.3%が消費税増税の準備をしていないと回答し、増税への対応が遅れていることがわかります。

税率の変更に伴うシステムの変更

税率の変更による準備で一番主なことはシステムの変更です。先述の調査でも、具体的な準備について一番回答が多かったのが「会計・経理システム変更の見直し」で構成比75.3%でした。

過去に3%、5%、8%と消費税率が変わってきていますので、システム内で固定された税率を持つのではなく、設定で税率と切替え日を入力すれば自動的に変更ができる仕組みになっているところも多いのではないでしょうか。

しかし、何らかの理由でそのような仕組みになっていない場合は、システムの改修に時間も費用もかかるため、早めの準備が必要です。
また、今回は軽減税率があるため、複数税率となります。そのため税率の切り替えだけでなく、軽減税率にも対応する必要があります。

軽減税率の仕組み

軽減税率とは税率が10%に引き上げられると同時に実施される制度で、対象品目に限り消費税が8%となります。
対象品目は食品表示法に規定する食品と新聞で、食品は酒類と外食やケータリング等が、新聞はスポットで買うものが対象外となっています。

対象品目を取り扱う企業は複数税率になるため、請求書や経理等で税率ごとに区分して記載する必要があり、システムでは税率変更以外にもこの部分への対応が必要になります。また、免税事業者であっても、課税事業者と取引を行った際に区分記載請求書等を求められることがあります。

クレジットカード使用によるポイント還元

軽減税率以外にも「クレジットカード使用によるポイント還元」の施策があります。
消費税引き上げに伴い、2019年10月〜2020年6月までの期間限定で実施が予定されています。消費者が商品購入の際にクレジットカードで支払いをするとポイントが付与されます。

還元率は、中小企業や個人経営の小売りや飲食、宿泊などは5%、コンビニや外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンは2%ポイントとなります。

ポイント還元は決済事業者(特定のクレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済など事業協力者)が行うため、商品やサービスを販売している企業が何かしなければならないわけではありませんが、エンドユーザーとのトラブルを避けるためにも、接客をする従業員はポイント還元の仕組みについて十分認知しておくことが必要です。

国の支援策

軽減税率による複数税率への対応が必要な中小企業や小規模事業者は、今回の増税の影響が大きいため、国が「軽減税率対策補助金」として「A型:複数税率対応レジの導入支援」「B型:受発注システムの改修支援」「C型:請求書管理システムの改修等支援」の3つの申請類型に対して経費を一部補助する支援を行なっています。A型であれば最大200万円、B型の場合は最大1,000万円が補助されます。

また、軽減税率対象品目を扱う会社で売上げや仕入れにおける税率区分が困難である中小企業の場合は、税額計算の特例措置(経過措置)が設けられています。

消費税増税の際のリスク

なるべくスムーズに対応したいところですが、このような切り替え時には何らかのリスクが発生します。今回、増税分を商品やサービスの価格へ転嫁したくとも、得意先や元請けが拒否してしまうことがあるかもしれません。

それでは増税分だけ利益が落ちてしまうことになります。
どうしても相手が転嫁を拒否する場合には、全国に公正取引委員会の消費税転嫁拒否に係る相談や違反情報の窓口が設置されていますので、万が一の際には相談をされてみてはいかがでしょうか。

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