毎日残業が続いて休日出勤を余儀なくされる職場環境が、何の違和感もなく継続されていたり、高いノルマの中、パワーハラスメント(パワハラ)を受けながら毎日働かなければならないのが「ブラック企業」です。ブラック企業は、中小・中堅企業から大手まで、有名無名を問わず多くの企業で問題になっています。働き手は、どのようにブラック企業を見分ければいいのでしょうか?
注目され続けているブラック企業問題
ブラック企業は、従業員の過労死やハラスメントなどの実態がマスコミに注目され、日本企業の抱える大きな課題として取り上げられています。弁護士やジャーナリスト、大学教授からなる「ブラック企業大賞企画委員会」では、毎年ブラック企業大賞を発表しています。同委員会では、ブラック企業が一時的に注目されるだけではなく、継続して問題として認識され、職場環境が改善されるように活動を続けています。
政府のブラック企業対策
政府は、ブラック企業を作り出す劣悪な職場環境の実態を改善するための対策を打ち出しています。働き方改革の中でも、ブラック企業を生みだす環境の改善を組み込んだいくつかの対策を推進しています。
働き方改革の柱の一つである「長時間労働の是正」は、まさにブラック企業の劣悪な環境を改善する具体策です。長時間労働のために従業員が過労死に追いやられてしまう実態をなくすべく労使団体と協議協力を重ねています。
長時間労働の是正では、単に企業に長時間労働をさせないように指導するだけでなく、具体的に時間外労働の上限時間を設定し、労働基準法に明記しています。上限を守らなかった企業に対しては法的な罰則が課せられるのです 。
政府は、職場でのパワハラの予防・解決にも取り組んでいます。厚生労働省では、パワハラを企業や従業員自身に認識させ、啓蒙するために、「あかるい職場応援団 」というサイトを運営しています。そこではパワハラの基本情報から、被害に悩んでいる人への改善策の提案、パワハラ対策の事例などが網羅的に紹介されています。また、SNSで情報発信するなど分かりやすく対応策を伝えています。
さらに、企業の人事担当者など、実務的にパワーハラスメント対策に関わる人に参考になるように、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を作成し、全国で講習会も開催しています。
ブラック企業の見分け方
「ブラック企業大賞企画委員会」は、ブラック企業の見分け方についての指標を掲げています。
【ブラック企業を見極める指標】
- 長時間労働
- セクハラ・パワハラ
- いじめ
- 長時間過密労働
- 低賃金
- コンプライアンス違反
- 育休・産休などの制度の不備
- 労組への敵対度
- 派遣差別
- 派遣依存度
- 残業代未払い(求人票でウソ)
※ただし多くのブラック企業が上記の問題を複合的に持っているので、判断する際も総合的に判断する。
(引用元:ブラック企業大賞「ブラック企業を見極める指標」)
厚生労働省では、長時間労働問題への対応のために長時間労働削減推進本部 を設置して、過労死をなくすための対策を「過労死等ゼロ緊急対策」にまとめています。
2019年4月に施行された 「時間外労働の上限規制」では、時間外労働の上限は原則として、月45時間・年360時間としています。特別な事情がある場合においては、時間外労働と休日労働を足した労働時間の上限は、月100時間未満、2~6ヵ月平均80時間以内と定められています 。
こうした法規制などから、職場で月に80時間以上の残業が発生していたら、ブラック企業に近いといえるでしょう。もちろん、職場で過労死や自殺が発生した企業はブラック企業であり、早急な職場改善が求められます。
また、激務や人手不足などで有給休暇の取得が事実上不可能であったり、心身の健康を害している従業員が多い企業もブラック企業といえるでしょう。
働き方に合った職場を選ぶ
ブラック企業を見極める指標を見てみると、働き方改革で指摘されている労務問題とリンクしていることが分かります。
働き方に対する考え方は個人個人によって異なり、基準もさまざまです。同じ個人でも、ライフサイクルの変化で、働き方は変わってくることが想定されます。
自分の価値観や目指すべき本当の目標に合わせて、職場を選ぶことが大切なのではないでしょうか。
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