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人事担当者が知っておきたい非正規雇用労働者の社会保険

(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

2017年に社会保険の加入対象が拡大し、今まで対象ではなかった非正規雇用の従業員についても、労使で合意すれば社会保険に加入できるようになりました。今回は、人事担当者が知っておきたい非正規雇用労働者の社会保険について解説します。

非正規雇用労働者の社会保険適用拡大

従業員の社会保険適用範囲が拡大し、以下の5項目を満たした場合に社会保険適用が認められるようになっています。

  1. 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上であること
  2. 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上であること
  3. 雇用期間の見込みが1年以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 以下のいずれかに該当すること

①従業員数が501人以上の会社で働いている
②従業員数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている
(引用元:厚生労働省 社会保険の適用拡大)

少子高齢化によって、社会保険料を納める人口が減っていくと、国民は社会保険制度の安定的な継続に対して不安を覚えるかもしれません。

制度を持続的に運用していくためには、社会保障の「支え手」を増やしていくことが必要になります。そのためには、女性やシニアなどをはじめとして働く意欲のあるさまざまな人材がライフスタイルの変化に適応した多様な働き方ができる社会環境を整備する必要があります。

また、従業員のスキルアップを図ることも、働き手の安心感や将来への明るい展望につながり、社会保険料を納める労働者の数を増やすことに貢献するでしょう。

非正規雇用労働者の社会保険適用拡大によって、従業員の安心感が高まり、同時に職場にキャリアアップの機会が準備されることで、モチベーションが高まり、企業の生産性向上も期待できます。

非正規雇用労働者における社会保険適用のメリット

非正規雇用労働者が社会保険に加入するメリットは次の4点が挙げられます。

メリット1:年金額が増える

国民年金で受け取れる基礎年金にプラスして、会社に勤めていた期間の給料をベースにした報酬比例の厚生年金分が増えます。

政府広報オンラインの「パート・アルバイトの皆さんへ社会保険の加入対象がひろがっています。」に掲載されている試算によると、40年間の報酬が8万8,000円(月額保険料8,000円)と仮定した場合の将来受け取れる年金額(報酬比例部分)は次のようになります。

  • 40年間加入
    月額1万9,000円/年間23万1,500円×終身
  • 20年間加入
    月額9,700円/年間11万5,800円×終身
  • 1年間加入
    月額500円/年間5,800円×終身
    ※月収が増えると年金額も増えます。また受取開始後も、物価や賃金により上下する他、少子高齢化による調整(減額)があります。

メリット2:障害厚生年金

厚生年金に入っていれば、万が一障害がある状態になった場合、障害基礎年金にプラスして障害厚生年金が受け取れます。また、厚生年金に入っている間に死亡したケースでは、遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金が支払われる制度になっています。

メリット3:健康保険の給付の充実

健康保険に加入していると、病気やけが、出産などで、仕事を休まなければならない場合に傷病手当や出産手当金として、賃金の3分の2程度の給付を受け取ることができます。

メリット4:社会保険の保険料を会社が半分負担してくれる

国民年金や国民健康保険では本人が保険料を全額負担します。
一方、厚生年金保険や健康保険の場合は、会社が保険料の半分を負担してくれます。
つまり、後者では自分が支払った保険料の2倍の額が支払われていることになり、その分給付の拡大にもつながります。

キャリアアップ助成金とは

人手不足が叫ばれる中、企業は多様な人材を活用することが求めれています。
他方で、働き手も、時短やテレワークなど、それぞれの事情に応じた働き方を選択したいと考えています。

企業と働き手双方のニーズを満たすため、政府はさまざまな助成金制度を整備しています。その一つが、「キャリアアップ助成金」です。

「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した企業に対して助成金を支給する制度です。

こうした助成金を活用することで、非正規雇用労働者はキャリアアップを図ることができ、企業も積極的に働き手を支援できるような環境の整備が可能になります。

社会保障制度の永続的な運用を可能にするには、「支え手」の拡大が必須なので、政府によるサポートを企業や働き手が利用することも重要です。

人事担当者は新たな取り組みに合わせた対応を

社会保険の適用範囲の拡大など、非正規雇用労働者など多様な雇用形態の従業員に対する多くの政策が実施されています。社会環境の変化に応じて、「働き方改革」を中心に、新たな政策や制度の運用も始まっています。人事担当者には、そうした動きに合わせた対応が求められるでしょう。

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