リスクマネジメント対象の範囲とその決定方法

(写真=bleakstar/Shutterstock.com)

企業におけるリスクマネジメントとは、コンプライアンス(法令遵守)違反を起こさないための予防策のことです。コンプライアンスばかりに気をとられてリスクマネジメントを怠ると、事前に収拾できた問題が拡大し、より大きなダメージを受けてしまう危険性があります。ここでは、リスクマネジメントの重要性とその対象範囲、対策方法について解説します。

リスクマネジメントの重要性

企業がコンプライアンス違反によって被る損害は、単に企業の信用を失墜させるだけではありません。他にも行政からの罰則や処分が加わることがあります。さらに、株主代表訴訟が起こしやすくなった ため、コンプライアンス違反による株価の下落による損失に対して損害賠償訴訟を起こすことができるのです。

これらのようなリスクを未然に防ぐ、実際に起きてしまった事態を迅速に収拾するためにも、社内規程をはっきりと定め、リスクマネジメントを行うことが重要になってきます。では、リスクマネジメントの対象範囲を確認していきましょう。

リスクマネジメントの対象範囲

採用・雇用管理

募集、採用から雇用契約、試用期間といったものを明確に定めておきましょう。また、不当な理由による人事異動は権利の濫用とみなされるため、人事は合理的に行われる必要があります。そのほか、求職や定年、解雇などに関する取り決めもしっかり行う必要があるでしょう。

服務規律

就業規則などによって職場の規律を守ります。兼業や副業を行う場合のルールやセクハラ、パワハラに対する対応指針、相談窓口の設置などが求められます。

労働保険・社会保険

労働者を一人雇用すると「雇用保険 適用事業所設置届」の提出が義務付けられています。また、条件を満たすパートタイム労働者の雇用保険や社会保険への加入などが必要です。これらは加入漏れなどによる労務リスクにつながる可能性があります。

就業規則・労使協定・法定帳簿

10人以上の労働者がいる場合は就業規則を作る必要があります。また、使用者と労働者との間で結ばれる労使協定では、36協定など残業や労働時間に関するルールが定められています。そのほか、労働基準法では労働者名簿を作成し、賃金台帳と一緒に一定期間保管することが義務付けられています。

賃金管理

従業員が一番敏感に反応する部分です。遅刻や早退、欠勤による賃金控除の取り決めや性差による賃金格差の禁止、出来高給の最低保証、賞与に関する取り決め、退職金の支給ルールなどが該当します。

労働時間・休日、法定休業・休暇

近年では多くの企業が注目している36協定やフレックス勤務、持ち帰り残業のルール、休日、休憩などの働き方に関する規程が求められます。

健康管理・安全衛生

定期的な健康診断が労働安全衛生法で義務付けられています。従業員の健康管理をサポートするのもリスクマネジメントにおける企業の務めといえるでしょう。

特定層

特定層とは外国人労働者、障がい者、パートタイム労働者、派遣労働者、請負などの従業員に対する規程です。それぞれの従業員について会社で働くための待遇面をルールとして策定する必要があります。

リスクマネジメントの進め方

リスクマネジメントは基本的にPDCAサイクルを意識することが重要です。つまり、PLAN(基本方針や計画の策定)、DO(対策の実行)、CHECK(対策の検証)、ACTION(改善)を繰り返していくことになります。

これに合わせる形で社内体制を整備していきます。たとえば、リスクマネジメントに対応するための専任者の配置、委員会の設置がこれに当たります。

対応する人材、部署としては人事、総務、法務が兼任する形になるケースもあります。現場レベルで従業員に認知してもらうためにも、現場責任者である部門長へのコンプライアンスの伝達も忘れずに行っていきましょう。

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