「プロフェッショナル人材」に特化したヘッドハンティング事業・エージェント事業を展開する株式会社プロフェッショナルバンク。常務取締役の高本尊通さんは、ヘッドハンターとしてこれまで数多くの高難易度採用を成功に導いており、今年開催されたビズリーチ社主催の「ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤー」に約1,600名以上の中から選ばれるなど、日本トップレベルの実績をお持ちです。
経営者や幹部と直接の接点を持ち、企業の事業成長や課題解決の支援にも繋がる仕事をされている高本さんは、企業の働き方改革や人事評価についてどのようにお考えなのでしょうか。インタビュー前編では、「採用力」をキーワードにお話いただきました。
【Profile】
高本 尊通(たかもと たかみち)
株式会社プロフェッショナルバンク 常務取締役
大学卒業後、大手総合人材会社入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、ソリューションコンサルティング担当マネジャーとして社内選抜部隊をまとめ、企業の外部リソース活用のための様々なビジネスモデルを構築。その後は新規事業開発責任者として合弁会社設立、アライアンス、デューデリジェンス、M&A、BPRプロジェクトなど様々な事業企画を担当、同社経営層のブレーンとして活躍する。2004年、(株)プロフェッショナルバンク設立に参画。現在は同社の常務取締役を務める。
いまだ根強い終身雇用の思想が、キャリアの多様性を阻んでいる!?
―社会全体で「働き方改革」への機運が高まっていますが、多くの企業に向き合っている高本さんは、現在の状況をどのように捉えていますか。
高本さん:日本がいま直面している「少子高齢化」や「グローバル化」といった流れを鑑みれば、国が「一億総活躍」を掲げるのは必然だと思います。これに関しては、企業経営者のみなさんも概ね賛同していることだと感じますね。
例えば、「長時間労働の是正」や「多様な働き方の実現」といったテーマについては改革を進めている企業が増えています。女性やミドル・シニア人材を積極的に受け入れる求人や、社内の業務プロセス変革に伴う求人ニーズが少しずつ増えていることからも感じ取ってはいますが、社会全体で広まっている状態かというとまだ絶対数は少なく、加速していくのはこれからだと思います。
―プロフェッショナルバンクの場合はどのような取り組みをされていますか。
高本さん:率直に言って、当社もこの観点ではまだまだ発展途上なのですが、リモートワークの推進や、様々な雇用形態のスタッフが活躍できる場づくり、時間の制約がある人でも活躍できるような就業時間の柔軟化は、すでに始まっている取り組みです。
また、平均年齢が若い会社なのでまださほど顕在化していないものの、危機感を持っているのは、「介護」に関する問題。現在でも日本全体で年間10万人が介護を理由に離職していますし、2030年には人口の6割が高齢者という時代に突入するため、早急な整備が必要だと思っています。
介護は出産や育児と違ってある日突然訪れますし、期限が決まっているものでもありません。終わりの見えないなかで、仕事のパフォーマンスが落ちたり、両立を断念して離職したりするのは、企業にとっても本人にとっても不幸。一人っ子の増加や女性の社会進出が加速することで、介護の当事者となる社員は確実に増えていきます。企業として支援する必要性は高まるでしょうね。
―一方で、社会全体が変わっていく上で難しさを感じられている点はありますか。
高本さん:「同一労働同一賃金」については従来の人事制度や雇用契約のあり方自体を根本から変えていく必要があるため、一筋縄ではいかないのが実態でしょう。加えて、企業の採用支援や求職者のキャリア形成を支援する立場からお話すると、「再チャレンジ可能な社会」や「キャリアの多様性」を実現するには、まだまだ道のりは険しいなと感じることがあります。
昔に比べれば企業の中途採用は広く一般的になりましたし、更なる活躍や自己実現のフィールドを求めてポジティブに転職をする個人も非常に多くなっています。しかし、人材を受け入れる側の企業が、年功序列や終身雇用の考え方に基づいて中途採用を行っているなと感じることがいまだに多いです。
分かりやすいのは、企業が履歴書でまず初めに見るポイントで、それは「年齢」と「転職回数」です。ポジションにもよりますが、例えば、20代で初めて転職をする人と、40代で5回転職している人であれば、前者を対象とする求人の方が実態としては多いでしょう。後者の方は、どんなに素晴らしいキャリアであっても、先の理由から面接にも呼ばれないというケースが残念ながら非常に多く存在します。
根底にあるのは、やはり年功序列や「長く勤めてもらいたい」という終身雇用の思想。しかし、個人の能力は年齢や転職回数といったデジタルな条件だけで測れるものではありませんよね。ある分野で高い能力を発揮できるにも関わらず、それを正当に評価してもらえないのでは「再チャレンジ」できませんし、企業にとっても優秀な人材との出会いをみすみす逃しているとも言えるのではないでしょうか。
マクロ経済が良好な今こそ、人的課題解決に投資する絶好の機会
―様々な産業で人手不足が深刻化している状況もありますし、採用のあり方・考え方から変えていかないと、企業の経営リスクにも繋がる可能性がありそうですね。
高本さん:今は完全に売り手市場になっていますよね。採用に苦慮されている企業も多く、よくご相談いただくのですが、実態を見てみると人が採れないと言いながら、採用においてやるべきことをきちんとやりきれていないケースが非常に多く見受けられます。端的に言うと、「選考」をしていて「採用」をしていないのです。
例えば、面接後の合否連絡に5日も6日もかかったり、不合格の理由を私たちのようなエージェント会社にきっちり共有していただけなかったり、経営と人事、人事と募集部門との採用の温度差があったり…。このような事柄が優秀な人材を逃す要因となる場合が多いのですが、「選ぶ側」という意識がそうさせているように思います。選ぶのではなく、獲得しに行くこと。私はそれが真の「採用」だと考えていますし、この視点で応募者の評価方法や採用プロセスを見直せば、採用力をもっと高められる企業は多いと感じますね。
また、これは採用に限った話ではないと思います。経営会議などで「人こそわが社の価値」と宣言される経営者のみなさんは少なくないですが、それならば人材に関わるあらゆることにもっと向き合っても良いのではないでしょうか。経営の三大要素は「ヒト・モノ・カネ」と言いますが、日本の企業にはCEOやCFOはいるものの、CHOつまり人事担当役員のいる企業がまだ少ないことからも、ヒトに対して戦略的に投資しやすい組織体制とは言えない場合が多いです。
これは個人的な想いでもあるのですが、雇用にまつわる様々な事柄がこれだけ社会問題化している中、本腰を入れてリソースを割く企業がもっと増えてもいいのではないでしょうか。景気動向という側面でも、今は人的資源の価値向上に投資するチャンス。景気が上昇傾向にあるうちに改革への投資を行わないと、潮目が変わってからでは優先順位を上げる余裕がなく、世の中から取り残されてしまいます。手遅れにならないうちに、改革を実行フェーズに移していくことが必要なのではないでしょうか。
――インタビュー後編では、プロフェッショナルバンク社における人事評価の考え方や、最近のプロフェッショナル人材のキャリア観などを話題に、「社員の継続的な成長・活躍」を実現するためのヒントをいただきました。次回もお楽しみに。
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