「Mobage」などのゲームを主力事業としつつ、Eコマースやオートモーティブ、さらにはヘルスケア分野まで幅広くサービスを展開している株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)。同社はその事業展開に注目を集めているのはもちろん、「エンジニアなど採用が困難な人材が続々と入社している会社」としても非常に有名です。なぜDeNAは、多くの優秀人材から働きたい環境として選ばれているのでしょうか。その秘訣を人事マネジメントの側面から探るべく、HR本部長の崔大宇さんにインタビューしました。
【Profile】
崔大宇(チェ テウ)
株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 ヒューマンリソース本部 本部長
2010年、新卒でゲームエンジニアとしてDeNAに入社。2年目より社長室にて「Mobage」の海外展開に従事し、韓国、上海、シンガポールへ赴任。その後は「マンガボックス」や「エブリスタ」を有するIPプラットフォーム事業に携わり、2017年にはAI戦略推進室で新規事業を推進。2018年4月にHR本部長に着任し、現在に至る。
「成果」はボーナスに反映。昇給は「発揮能力」の伸び幅が基準になる
――まずは、DeNAにおける人事評価の仕組みについて教えてください。
DeNAでは、半期に1度のサイクルで人事評価を行っています。査定のポイントとなるのはふたつ。ひとつは仕事を通して生み出した「成果(業績)」で、もうひとつは半年間でどれくらい個人が成長できたのかという「発揮能力」です。後者は、‟成長度合い”と言い換えるとイメージしやすいかもしれません。
――2軸で人事評価を行う企業は珍しくないですが、よく耳にするのは「定量×定性」や、「業績×行動プロセス」という考え方です。「発揮能力(成長)」を指標に置いているのがDeNAの特徴だと感じました。
そうかもしれません。「発揮能力」についても、「成果」と同様に半年後のゴールを決めて、到達度を測っています。いわゆる‟成長目標”を立てるんです。人事評価の重要な観点ですから、期初面談では上司と部下で、「強みを伸ばす(弱みを克服する)ために何をしていくか」と会話することが必要。だからこそ、面談は会社として個人の成長に期待していることをフィードバックする場でもあるんですよ。
また、「成果」と「発揮能力」の査定結果は、それぞれ異なる方法で社員に還元しています。「成果」の大きさはボーナスに反映するという考え。たとえば、担当したサービスの売上が爆発的に伸びたとしても、その要因は外部影響が大きかったり、一時的な伸長である場合もあるでしょう。
業績は個人の実力が直結するとは限りませんから、成果はあくまでも当該期間の報酬として還元しています。一方で、「発揮能力」の査定結果は基本給に反映。DeNAではグレード制を採用しており、グレードの階層ごとに期待するレベルを定義していますので、本人が今発揮できる能力(成長度合い)とグレードを照らし合わせることで基本給が上下していきます。
――2軸の掛けあわせで総合評価されるのではなく、別々の方法で還元されることを、社員のみなさんはどう受け止めているのでしょう。崔さん自身は最近まで人事以外の部門でご活躍でしたが、人事制度を享受する側としてどのように感じていましたか。
「成果」と「発揮能力」で別れているから、自分の給与の決まり方が明快だと思っていましたね。それに、先ほど申し上げた通り、成果の大きさは自分の実力と必ずしも比例しないので、成果だけに結びついて基本給が決まるのは、個人としても怖い部分があります。
もしも‟成果だけ”が評価基準だったら、自分一人ではコントロールできないところで給与が上下するわけですから、納得感が薄かったかもしれません。
すべての人事制度は、企業ミッション・ビジョン・行動規範に紐づく
――ここまでお話をうかがって、DeNAの人事評価には「社員の成長に期待する」という企業姿勢が、非常に明確に表れていると感じました。御社における人事制度はどのような思想でうまれているのでしょうか。
査定・評価に限らず、すべての人事制度は「DeNA Quality」と呼ばれる5つの行動規範(『「こと」に向かう』、『全力コミット』、『2ランクアップ』、『透明性』、『発言責任』)をメンバーみんなに持ってもらいたいという思想に基づいています。
弊社の掲げる「Delight and Impact the World(世界に喜びと驚きを)」という企業ミッションや、「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」というビジョンを実現するためには多様な人材が必要になると考えていますが、この行動規範だけは必ず守って欲しいという約束事が必要。つまり、‟DeNAらしい”価値を世の中に届けていくための考え方や働き方を社内に浸透させるのが人事の役割だと捉えています。
だから、査定会議や個人との面談の場でも、評価の基準になるのは「DeNA Qualityに沿っているか」。成果を測るにしろ成長を測るにしろ、軸となるのはDeNA Qualityです。ここからブレないようにすることを評価する側は意識していますね。
特に、私たちは変化の激しいITの世界にいるため、期中に目標の見直しが必要な場合も多いです。中間面談で軌道修正をしたり、異動によって目標自体大きく変わるメンバーがいるのも、DeNAにとってはよくあること。
そういう環境だからこそ、マネージャーには尚更メンバーにしっかり向き合ってほしいため、「マネジメント人材の育成・強化」も私たち人事の重要テーマとして取り組んでいます。
――インタビュー後編では、2017年に発表された人事プロジェクト「フルスイング」について、立ち上げの背景や運用のポイントなどを伺いました。
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