「スタッフにキャリアパスのサポートを提供しない 」という、異色のHR戦略をとるApple。同社は市場での競争優位性を達成する手段として、スタッフの能力を最大限に活用しています。
同社が世界トップクラスのIT企業に成長を遂げた成功のカギは、優れた才能の発見と創造力・革新力の成長促進に焦点を当てた、独自のHR戦略にあるといっても過言ではないでしょう。
「キャリアパスのサポートを約束しない」理由
常に革新的な商品やサービスを社会に供給するためには、企業文化に合った適切な人材確保が欠かせません。Appleは人的資本を全体的な競争力にとって不可欠な要素と見なし、競争力の強化に向けて、組織の活動や成長に全力投球できる人材の採用プロセスに多額の投資を行っています。
多数の企業が優秀な人材の争奪戦を繰り広げていますが、ライバルと同じ戦略をとっていては熟練した専門家を惹きつけることは困難です。
Appleの採用プロセスは、組織の戦力となる人材のみを厳密に選択するよう設計されています。そのためステップアップに必要な業務経験やルートをあえてスタッフに示さず、潜在的な能力を最大限に活かすアプローチを重視しているのです。
スタッフに求められる3つの重要要素
人材を「開発戦略への原動力」と見なすAppleがスタッフに求める要素は、「勤勉さ・忠誠心・完璧性」 です。すべての候補者が組織の成長に尽力し、あらゆる詳細を正確かつ完璧に遂行することを求めています。
またスタッフはキャリアパスやワークライフバランスといった組織のサポートに依存することなく、自ら必要な情報を収集し、キャリアを開拓する野心と努力を備えていることが要求されます。
その一方で、継続的な能力およびスキル開発トレーニング や意思決定への参加、エンジニアが自らのプロジェクトに取り組める「Blue Sky Program 」など、スタッフが成長するための環境作りに務めています。スタッフはこうした機会を積極的に活用することで、自らの力でステップアップしていくのです。
ただし同社の開発トレーニング は他社とは異なり、学習計画のマニュアルが提示されるわけではありません。スタッフは自ら学習計画を作成し、あくまで自立した環境でスキルを磨く必要があります。
自力でステップアップし 、組織に大いに貢献できることを証明したスタッフは、報酬として定期的な株式交付のほか、豊富な退職パッケージを受領できます。つまり同社は長期的な経済サポートを惜しみなくあたえることで、勤勉なスタッフに還元しているというわけです。
また同社はHR戦略の一環として人材の多様性 も重視しており、他社の優秀な人材のヘッドハンティングにも積極的です。 HRマネージメントモデルの強化に向け、「アジャイルHR」を 実践している点も特徴的です。
これはITや製造・開発分野で近年採用されている手法で、可能な限り少人数のチームで俊敏に軌道修正や実験を繰り返し、反復により学習するというアプローチです。パフォーマンス評価から能力開発までデータ分析に基づき、解決策を実行・検証します。
「自立心の促進・最大限の能力開発」を追究
以上の洞察から、AppleのHRマネージメントモデルが「スタッフの自立心を促進し、能力を最大限に開発・利用すること」であることが伺えます。組織成長の戦力となる人材を続々と確保し成長を促すことで、自社のさらなる跳躍に役立てているのです。
AppleはHR戦略を正式に公表 していないため、これらの洞察はあくまで同社のHR部門や元スタッフの取材を通して得たものです。しかし多数の企業が人材確保の手段として、ステップアップのサポートやワークライフバランスを前面に押しだしている中、AppleのHR戦略が180度異なるアプローチでスタッフの創造性と革新力の促進を力強く刺激していることは、疑う余地がありません。
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