人材の採用や育成、管理などを手がける人事分野でも、テクノロジーの導入が進んでいます。最近では「HRテクノロジー(HRテック)」という言葉も生まれており、人事分野の今後の大きな変化が予想されるようになっています。今回は、HRテックの基本的な説明として言葉の定義、市場規模などについてお伝えします。
単なる流行語?HRテクノロジーの定義は存在しない
フィンテック(FinTech)やエドテック(EdTech)などのように、「○○テック」という造語がいくつか生まれてきています。ファイナンス(金融)やエデュケーション(教育)のような既存の業界にテクノロジーが導入されるのが「○○テック」の意味であると考えられます。今回ご説明するHRテクノロジー(HRテック)も同様です。
ただし、HRテックを含めた「○○テック」は厳密に定義された用語とは言えず、一種の流行語の様相を呈しています。人材分野で言うと、HRテックという言葉が生まれる以前からインターネットやコンピューター、プログラミングなどを活用したサービスは存在しています。
こうしたサービスもテクノロジーを活用しているのは間違いありませんが、以前から存在しているだけに「○○テック」という呼び方はされないように思われます。
なお経済産業省では、以下のようにHRテックを説明しています。
人事評価や採用、人材育成等へのAIの活用やIoTによる労務管理、ビッグデータを活用した人材運用など企業における人事機能の向上や、ウェアラブル等のデバイスを活用して働き方の進化を実現する、いわゆる「HRテクノロジー」が新たなサービスとして急速に拡大しています。
こうしたHRテック市場は、2017年度には179.5億円、2018年度には250.8億円と急速に成長しているとされ、調査会社の試算では2023年度の段階で1,000億円に達する勢いであると考えられています。
単にインターネットを活用した人事サービスにとどまらず、AIやIoT、ビッグデータなどといったテクノロジー分野における流行語と関連づける形でHRテックについて説明されています。したがってHRテックを理解するには、近年登場してきた、あるいは今後登場してくることが期待されるサービスの種類を整理する必要があります。
HRテクノロジーの2つの分野
他の「○○テック」と同様に、HRテックにおいても2つの方向性が考えられます。すなわち既に存在する機能の効率化と、新機能の提供です。
既存機能の効率化の例として、採用や人事管理が挙げられます。データやシステムの力によって、これまで人間の勘と経験で成り立ってきた業務の生産性をアップすることが主目的です。
たとえば、業務自動化を支援するロボットによって、履歴書・職務経歴書の簡易的なスクリーニングやオファーメールの自動配信などの機能が実現されています。 他にも、人事領域のデータを管理し、採用から勤怠・人材管理まで行う人事プラットフォームも出てきています。
一方の新機能の提供については、あまり見受けられないように思われます。人事分野の作業はある程度確立されていますので、やはりこうした既存機能に目が向けられる傾向が現段階では強いと言えるでしょう。
ただし、今後人工知能(AI)や機械学習などのような最先端テクノロジーが人事分野へ導入されることにより、単なるデータ処理にとどまらず思考や判断を求められる部分までテクノロジーが代替するかもしれません。こうしたテクノロジーが人事をどのように変革する可能性があるのか見てみましょう。
HRテクノロジーにおける人工知能(AI)と機械学習
AIや機械学習の強みは、大量のデータを読み込んで分析し、客観的な結論を迅速に導き出せる点にあります。しかもデータを読み込むほどより「賢さ」を増し、正確な分析がしやすくなります。また、過去のデータからパターンを見つけ出し、新たなデータに当てはめる形で将来予測をしてくれます。
そう考えると、人事分野におけるデータの分析と予測の部分でAIや機械学習が活躍できそうです。たとえば、履歴書や職務経歴書を基に簡易的なスクリーニングをするだけにとどまらず、求人情報とそうしたデータを結びつけて求職者に適したポジションを提示するようなマッチングサービスが挙げられます。
人事分野においてテクノロジーの導入が進むと、むしろテクノロジーができないことだけを人間がやらざるを得なくなるでしょう。人材戦略の立案や経営理念のすりあわせなどといった上流の部分や、従業員に対する運用ルールの説明などが一例として考えられます。人事担当者は、自らの価値を証明する必要に迫られるようになるかもしれません。
HRテクノロジーは日本の人事制度を変えるか
HRテックは発展途上であり、前述の市場規模の予測を見る限り今後もしばらくは急速に拡大していきそうです。従来型の人事制度を根本から変革するような新サービスの登場の可能性は未知数ですが、少なくともよりデータドリブンな形で人事分野の分析や意志決定を行う場面が増えていくでしょう。
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