派遣社員は、派遣先企業と直接雇用関係がないため、労災などの取り扱いが正社員などと違ってきます。 派遣先企業は、派遣社員が業務中に怪我をした場合などに責任を負うべきなのでしょうか。派遣社員に対する労働基準法や労災の適用などを見ていきます。
派遣社員と派遣先企業との関係
正社員や契約社員などと派遣社員は同じオフィスで業務を行っていますが、雇用関係は異なります。正社員などが就業先企業と直接雇用関係を結んでいるのに対し、派遣社員は派遣会社と雇用関係を結んでいます。
企業は、派遣会社と「派遣契約」を結んでいますが、派遣社員と派遣先の企業は直接の雇用関係はありません。
そのため派遣社員と派遣先企業との関係は、労働基準法や労災などにおいて、正社員と異なる対応が必要になります。
派遣社員に対する労働基準法の適用
労働基準法は、原則、労働者と労働契約関係にある事業者に適用されます。つまり、派遣労働に関しては、派遣社員と雇用関係にある「派遣会社」が責任を負って、派遣社員と雇用関係のない派遣先企業は責任を負わないことになっています。
しかし、職場では派遣先企業が派遣社員に業務を指示しているという特別な環境にあります。そのため、労働者派遣法では、労働基準法等の適用について特例を設けています。
特例では、派遣社員に関する労働基準法の適用は、基本的には派遣社員と雇用関係にある派遣会社が責任を負うことが原則としつつも、「労働者派遣の実態から派遣元の事業主に責任を問うことの困難な事項、派遣労働者保護の実効を期すうえから派遣先の事業主に責任を負わせる」(労働者派遣法第44条から第47条の2まで )」としています。
派遣社員の労災の適用
派遣事業においての労働基準法の労災補償責任の所在は、派遣会社に災害補償責任を負わせることになっています。その根拠は、「労働者派遣事業に対する労働者災害補償保険の適用等について(現状)」によると次の3点です。
- 派遣元事業主は、労働者の派遣先事業場を任意に選択できる立場にあり、労災事故の起きた派遣先と労働者派遣契約を締結し、それに基づいて労働者を派遣したことに責任があること
- 派遣元事業主は、派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先の事業場において就労させているのであるから、派遣労働者を雇用している者として、派遣先の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があること(この責務については、労働者派遣法第31条に明記されている。)
- 業務上の負傷・疾病に係る解雇制限の規定(労働基準法第19条第1項)あるいは、補償を受ける権利の退職による不変更の規定(労働基準法第83条第1項)は、労働契約関係の当事者である派遣元事業主に災害補償責任があることを前提としていると考えられること
また、派遣社員の労働者災害補償保険法(労災保険法)適用は、「労働者を使用する事業を適用事業とする」とされています。
ここでいう「使用する」は、労働基準法における「使用する」同様労働契約関係にあるという意味で、労災保険の適用は派遣社員と労働契約関係にある派遣会社ということになります。
労働基準法上の災害補償責任についても、派遣会社に課されており、労災保険法と労働基準法、労働者派遣法は考え方を一致させています。
労災を理解して派遣社員を雇用する
派遣社員の労災については、派遣社員と雇用関係にある派遣会社に責任があるわけですが、派遣社員が実際に業務を行っているのは、派遣先企業です。
人事担当者は、派遣社員の労災が起きないようにできる限り注意する必要があります。また、もし労災が発生した場合は、派遣企業への連絡など速やかな対応が求められます。
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