新年度に入り、新入社員が入社し、気持ちを新たにしている人もいるのではないでしょうか。しかし近年、新入社員がすぐに会社を退職する傾向が増しているという人もいます。確かに、終身雇用制度が崩れて会社への愛着や忠誠心は以前より希薄化し、ゆとり世代やさとり世代を中心に打たれ弱い新入社員も見受けられるようになりました。
少子高齢化が進む中、ようやく採用した貴重な新入社員にすぐに退職される、まして予兆もなく突然退職されては会社にとっても大きな痛手になるのではないでしょうか。そこで、今回は新入社員の定着にスポットを当てて考えてみましょう。
新入社員がすぐに会社を辞める4つ予兆
会社で一緒に仕事をしていると、辞めそうな新入社員には何らかの予兆や兆候が見られます。せっかく入社したばかりの新入社員がすぐに辞める理由は、新入社員と会社の双方に原因があると考えられます。そんな兆候を4つ説明しましょう。
● 社会人としての自覚不足
学生時代と社会人にはさまざまな違いがありますが、その一つが自覚です。すぐに会社を辞めようと考える新入社員には、社会人としての自覚や覚悟が足りないケースがあります。
新入社員の多くは突然働く環境に身を置くことになりますが、学生気分のまま社会人になる人もいるようです。このような人は組織の中で避けられない理不尽さや不合理に遭遇すると、ためらいなく会社を辞める決断をしてしまいがちです。
● 仕事や会社の安易な選択
学校卒業後は周りが就職するから自分も……と、周りに流されて働くことを決める人もいるかもしれません。このようなケースにも注意が必要です。ここで働くと決めた理由や決めるに至ったプロセスが大事です。やりたかった業種や就職先ではない、第1志望で内定が出ず仕方なく就職を決めたようなケースにも同様に注意が必要です。
どんな会社でも入社してみると理想と現実のギャップはあり、担当業務の内容や待遇が想像と違うとショックを受けてしまうおそれがあります。希望した会社や業種でも想像と異なると「こんなはずではなかった」と思うものです。まして安易に決めた就職だと、自分は悪くないと考えてそれ以上は踏ん張れず、他の仕事が良く見えてしまって辞めたくなるようです。
● ストレス耐性が低い
社会に出ると学生時代と異なり、人間関係は複雑で上下関係も生まれます。そこで気持ちが受け身で消極的な状況が続けば、会社は居心地が悪く、次第に出社するのが嫌になってきます。
少子化の影響からか、学校で厳しく指導すると問題視されるケースが増えたことで、親や教師から怒られた経験が少なく、ストレス耐性が低い新入社員が増えているといわれています。
● 柔軟性がない
企業や組織には、独特な社風や風土があるものです。入社後に違和感を覚え、慣れる努力や工夫を怠り、自己流のやり方や主張を押し通そうとする新入社員もいるといわれています。憧れの会社や仕事に就いても、やりたかった業務ではないと、次第にやる気をなくすようなケースです。組織としては段階を踏んで徐々に難しく、高度な仕事を任せるつもりでも、柔軟性に乏しい新入社員は仕事を任せる前に、この状況に辛抱できず、辞めてしまうことになるようです。
新入社員がすぐに辞めたくなる会社
それでは、次に企業側について考えてみましょう。新入社員がすぐに辞めたくなる会社とはどのような会社でしょうか。2つ例をご紹介します。
● 研修と現場(理想と現実)のギャップに苦しむ
一般的に新入社員は研修時には就職できた喜びに溢れ、企業の理念やビジョンに賛同できるものです。ところが、研修後に現場へ配属されると、高尚な理念とは程遠い現場の姿に不信感を抱き、「辞めたい」という気持ちに繋がる場合もあるそうです。
このようなギャップは人事と現場の考え方の違いで生じる問題で、多かれ少なかれどこの会社にもあるかもしれません。企業側の理想が現場では軽視されていたり、不一致が見られるケースでは会社側の改善も必要でしょう。
● 経営に家族色が濃い場合
中小企業に多くみられるのが家族経営です。家族経営そのものが悪いのではありません。日常的に社内で家族色が強かったり、経営者一家の結び付きを威圧的と捉えて、居心地が悪いと感じる新入社員もいるものです。
厚生労働省の「新規大学卒業者の事業所規模別3年後の離職の推移」によると、小規模な事業所ほど定着率が低いというデータがあります。そこには、新入社員側の原因もあるかもしれませんが、もしかすると社員が少ない中小企業側にも原因がある可能性もあります。
新入社員の予兆を掴み対応を
新入社員は貴重な人材です。企業には人材を育成するという社会的な使命もあります。せっかく期待に胸を膨らませて入社した新入社員がすぐに辞めないよう、事前に予兆を掴み、早めに対処することが大切です。それには、企業側にも問題はないかどうか振り返ることも欠かせません。職場環境にも気を配り、対応することも企業の重量な責務のひとつだといえるのではないでしょうか。
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