人事管理とは?人事担当者が押さえておきたい基本知識を解説

(写真=Grasko/Shutterstock.com)

人事管理は企業経営において必要不可欠なものです。この記事では人事管理の目的や注意点から、人事管理の実務、これからの人事管理に求められる要素まで、幅広く解説します。人事管理について詳しく知りたい方は参考にしてください。

人事管理とは

人事管理の目的は、企業で働く人が、最大の成果を上げ、企業収益に貢献できるようにすることです。この目的のために働き方のルールを定めたり、制度や体制を整えたりして、設計通りに運用されるよう目を配り、必要なら制度を改定します。

人材の採用や解雇、効果的なセクションへの配置、能力開発に組織の活性化なども人事管理の大事な役割です。頻繁に改定される法令にも対応し、様々な施策を通して従業員のやる気を引き出し、生産性を高めることが人事管理には期待されています。 

人事管理における注意点

働く人を取り巻く環境や社会情勢は、近年大きく変化しています。新卒一括採用からの正社員中心の年功序列と終身雇用を前提とした日本型雇用システムでは、日本社会の急激な変化に対応しきれなくなって来ました。

また、従来見えづらかった長時間労働やハラスメントなど社会問題への適切な対応も求められています。副業の解禁や女性の社会進出、人口減や高齢化に外国人労働者の受け入れなど、日本社会の環境の変化にともない、人事管理に期待される約割は大きくなっています。

人事管理の実務

具体的に人事管理業務で担当する実務について解説します。

人材採用と人材配置のポイント

人材の採用は、会社が実現したいビジョンに基づき、リソースが不足する部門に必要な人材を投入するために実施します。まず期待する人物像を明らかにし、採用時期や選考方法など細かい採用計画を立てた上で、求める人材をできるだけ多く集められるよう、募集をかけることになります。

採用した人材が職務を全うし、成果を上げるためには、本人の能力や適性、家庭環境などの置かれた状況を十分考慮したうえで、ふさわしいポジションに配置することが重要です。

配置でミスマッチが起きると本人の士気やパフォーマンスが下がるばかりでなく、周囲の人間へのマイナスの影響も心配です。組織の状態を健康に保ち、新陳代謝を高めるためには、適切なタイミングでの異動やジョブローテーションなどを活用します。

社員からの自発的な配置換え希望を受け入れたり、社内公募など、組織の風通しを良くしたりして活性化する仕組みの整備も重要です。

人事評価のポイント

人事評価においては、個々人の特性、個性と向き合うことが重要です。また評価の目安となる客観的な基準を準備しなくてはなりません。基準に基づき各個人の目標を定め、目標に対する業績の達成度やスキルの習熟度などにより、社員を適切に評価します。

評価対象である社員が納得できないシステムの場合、やる気を喪失し、モチベーションが低下する恐れがあります。納得できる評価に基づき、報酬や昇進など処遇面でも適切に反映して、社員の満足度を高めるような評価制度を設計することが大事です。

人材育成と能力開発ポイント

社会環境が変化すると、企業に求められるサービスや戦略も変化します。会社の戦略が変われば、社員に求められる能力も従来と同じではありません。変化には配置転換で対応することもできますが、効果は限定的かもしれません。今いる社員に、研修や教育訓練により必要なスキルを新たに身につけてもらうのも一つの手段です。

能力開発には、職場で働きながらスキルを身に着けていく「OJT」や、社外で行う企業向け研修やセミナー、個人的に能力を向上させる自己啓発といったものがあります。社員が適切なタイミングでスキルアップできるよう、教育訓練や研修の制度を整備し、周知していくことが重要です。

また人事担当者は社員の作業量に注視し、極端な長時間労働があれば作業量を見直し、周囲との関係性が良好であるか確認します。こういった配慮も、パフォーマンスの向上や良好な勤務環境維持には必要です。

人事管理と法律

人事管理には多くの法律が関連しており改定も頻繁です。関連法規が改定された場合は、制度を見直し、対応しなくてはなりません。

  • 労働基準法 (労働時間や休日、賃金に関する法律)
  • 労働組合法 (労働組合活動のための法律)
  • 労働関係調整法 (労働関係調整のための法律)
  • 労働契約法 (労働契約、労働者の保護に関する法律。)
  • 最低賃金法 (最低賃金に関する法律)
  • 障害者雇用促進法 (障害者の採用に関する法律)
  • 労働者災害補償保険法 (業務上負ったケガや病気に関する法律)
  • 労働安全衛生法
    (職場における労働者の安全と健康を確保するための法律)
  • 労働者派遣法 (派遣社員に関する法律)
  • 雇用保険法 (労働者が失業した時や再就職支援のための法律)
  • 育児・介護休業法 (育児や介護に関する労働者を支援する法律)
  • 男女雇用機会均等法 (職場における男女の差別を禁止する法律)
  • 高年齢者の雇用の安定等に関する法律 (高年齢者の就業に関する法律)
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
    (パートタイム労働者の雇用に関する法律)
  • マイナンバー法 (国民の社会保障や納税情報管理に関する法律)
  • 若者雇用促進法 (青少年の雇用に関する法律)
  • 女性活躍推進法 (女性の活躍を推進するための法律)

求められる21世紀の人事管理

社会環境や国際情勢、国をまたいだ貿易のルールなど、仕事、企業、労働者をとりまく環境は凄まじいスピードで変化しています。この変化に対応し、ライバルとの競争に勝つためには、貴重な人材資源の適性に応じた採用がカギになります。

従業員の個性や強み、専門性を磨いて能力が発揮できるよう、最新テクノロジーの多様性を理解して人事管理に生かしていくことが、これまで以上に強く求められるでしょう。

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