株式会社文京楽器 様
- 事業内容
- 弦楽器 製造・販売
- 従業員数
- 24名(評価対象:19名)
- 設立
- 1947年(昭和22年)4月
- 所在地
- 東京都
- 課題
- 社員を正当に評価できる 人事評価制度の構築
人事評価制度を導入された背景を教えてください。
当社は、1947年創業で私が3代目という老舗企業ですが、あしたのチーム®を導入するまでの長い間、人事評価制度は確立していませんでした。
しかし、少子高齢化などを考えると人材確保は必要不可欠で、今後は「ヒト・モノ・カネ」の中でも、「ヒト」が非常に重要ですよね。
その「ヒト」を大切にする上では、“人事評価制度がきちんとある”ことそして、正当な評価が必要だと考えました。
なぜなら、私自身、社員から社長へのキャリアアップのなかで、“正当に評価されること”と“モチベーション”の関係は実体験として強く感じていたからです。
一社員から社長になったからこそ、私が取り組むべき改革の1つとして、人事評価制度の導入を決めました。
また、社員の経験が長いからこそ、これまでの「楽器が好きだから趣味でやっているんでしょ」といった、ややもするとやりがい搾取であったり、根性論で頑張る・やらせるだけでは、優秀な人材から辞めていってしまうという危機感も感じていました。
最初は複数社のサービスを比較検討し、自分たちに合うものを求めて、完全オーダーメイドで作ろうと考えていましたが、評価制度に正解がないことを考えると、オーソドックスな評価制度の方が長続きするのではないかと考えて、あしたのチーム®に決めました。
ある程度型が決まっている制度を自分たちに合うようにセミオーダーというか、カスタマイズしていく方が、得られるものがあるのではないかと感じたんです。
私にとっては、「自分たちを変えよう!」という決意のもとの導入でした。
社員には、並行して進めていた長期休暇取得といった働き方改革の一環として、人事評価制度の導入も事前にアナウンスしたので、反発なく導入することができました。
人事評価制度を導入後、どのような効果を感じていますか?
まず、社員の会社への信頼に繋がっていると感じます。
私が仕事をするうえで大切にしていることは、「ロイヤルティ」です。
会社に忠誠を尽くすというだけでなく、“社員一人ひとりが自分の仕事や自分自身に対してロイヤルティを持って前向きに働く”ということがすごく重要だと考えています。
でもそれと同時に、それは、「会社に対する信頼」があって初めて成り立つものであるとも感じています。
かつての私もそうだったように、弊社のような小さい会社で働く社員は、「この会社でどこまで・どれだけやれるのか?」という、自分を会社に預けるようなある種の期待や不安があると思います。
人事評価制度を導入し、会社の今後の方向性や、会社が大切にする価値基準を明確にできたことで、社員が「将来、この会社で自分はどうなっていくのか」想像できるようになりました。
導入する前までは、「頑張ったその先に何があるのか」分からず、自分の将来が見えなくて不安も多かっただろうなと思います。
人事評価制度が、社員の将来に対する不安を払拭し、会社や自分自身に期待を持ちながら、安心して働ける会社に変化できたことは良かったですね。
仕事の面では、社員が、中長期的な目線を持って仕事をしてくれているなと感じる場面が増えました。
弊社は販売業ということもあり、目の前のお客様の対応や、緊急性・重要度の高い仕事ばかりを追いかけてしまい、企業文化や付加価値を向上させるといった“緊急ではないけど重要”な仕事に手が付けられていませんでした。
しかし、人事評価制度の導入により、「評価期間」や「目標」「評価結果」を意識するようになったことで、キャリア設計や1年間の業務計画など、中長期的な目線をもって仕事をする社員が増えたんですよね。
例えば、スキルを付けて自分自身の価値を高めていくことや、作業の効率化を考えて業務改善するなどの動きが見え始めています。
ちなみに、これには、人事評価制度と並行して始まったシフト制の廃止や長期休暇の取得推奨も影響しています。
休みをしっかり取るためには、業務を計画的に実施する必要があり、長期休暇の前に計画的に業務スケジュールを組んで業務にあたってくれるようになりました。
短期的な売上などに追われるだけでなく、中長期的な視点を持てるようになったことは大きな変化であると同時に、自主性の醸成にも繋がっていると感じます。
また、「あしたのチーム®を選んで良かったな」と強く感じるポイントは、あしたのクラウド®です。
人事評価制度のためのシステムというだけあって、情報も整理されますし、何より評価データへのアクセスのしやすさに助かっています。
スマートフォンを使って、どこでも目標設定や評価入力ができるのが便利ですね。
人事評価制度を運用していく中で苦労したこと、また、その局面をどのように乗り越えたのかを教えてください。
苦労したのは、評価者の育成です。
当社はこれまで、「営業成績が良くて、一人でなんでもできるAさんが営業部長だよね」と、現場の仕事がよくできる人が中間管理職になっていたんです。
ただ、現場の仕事ができるからといって、マネジメントや教育ができるかというとまた違いますよね。
なので、部下のマネジメントや教育を求める中間管理職として十分な能力が備わっていない管理職も正直多かったんです。
マネジメント要素が強く求められる場面では、私が社員一人ひとり全員とコンタクトを取ることもありました。
社長と全社員が一対一で向き合えること自体は、フラットな組織として良い面もあるんですが、企業としての成長を考えるとやはり管理職をしっかりと育成していくこと、そこに課題があるなと感じていました。
これまで管理職としての育成をしてこなかったので、当然ですが、導入当初は、部下との面談の仕方や、向き合い方がわからず、評価に苦労していたようです。
しかし、あしたのチームさんの運用サポートを通じて、徐々に改善することができてきました。
人事評価制度とはどんなものなのか、面談はどのように進めるのか、日々の目標の管理や評価はどのように行うのか、といったことを評価者研修で教わったり、第3者目線でアドバイスしてもらうことで、マネジメントが出来る管理職へと成長しています。
あしたのチームさんという第三者の存在が、社員の変化に良い影響を与えてくれました。
説明会や研修を通して第三者のあしたのチームさんから必要な情報を発信していただくことで、素直に受け入れたり質問しやすかったり、課題改善しやすかったです。
私からトップダウンで伝えても、本音を言い辛かったり、天邪鬼になったりしてしまう部分があったでしょうから。(笑)
中小企業の社長と社員は、良くも悪くも会社がひとつのファミリーのような距離感で仕事をしてるケースも多いかなと思います。
親と子供ではありませんが、距離が近い分、上司からの指示に抵抗をしやすいというデメリットがあったんです。
あしたのチームさんという第三者のサポートと、評価データにアクセスがしやすいあしたのクラウド®という2つのポイントが、社員が評価制度を理解し、受け入れてくれる足掛かりになったと思います。
あしたのチームさんの担当コンサルタントは、制度の導入から運用までを丁寧にナビゲートしてくれて、導入前のイメージ通り進んでいるので、とても満足しています。
育成という観点では、若い社員にもオーナーシップだけでなくリーダーシップやフォロワーシップを学んでもらいたくて、あしたのチームさんの全社員向けオンラインサロン(※1)に積極的に参加してもらっています。
これにも効果を感じていて、被評価者は評価者の指示を受けるだけではなく、自ら「なぜその業務が必要なのか?」「きっと全体を見るとこうだから、自分はこうするべきだ」と予測をしたり、評価者目線で課題や目標を考えたりしてくれるようになりました。
あしたのチームさんは、担当コンサルタント以外のサポートも充実しているので、助かっています。
(※1)オンラインサロンとは、導入企業限定の無料オンライン勉強会。
あしたのクラウド®の操作方法だけでなく、人事評価制度や人材育成のノウハウ、さらには評価者や社会人としてのスキルなど、様々な役立つコンテンツで開催中。
詳しくは、こちら
今後、人事評価制度の運用により、実現したいことを教えてください。
人事評価制度を通して、多様性や個性を認めて評価できる風土を築いていきたいです。
魅力や個性的な才能のある販売員や職人が生まれるような評価・育成の基盤にできるのが理想ですね。
減点法ではなく加点法という意識で人事評価制度を運用していき、一人ひとりの特徴がないチームではなく、個性や才能を伸ばした集団にできたら楽しいだろうと思っています。
そのためには、一人ひとりの自主性が重要ですよね。
個々が持つ弱点も、本人が自ら変わりたいと思った時に最も効果的に克服ができると考えています。
あしたのチーム®の人事評価制度で、社員にはその自主性を育んでほしいです。
今後、人事評価制度を導入する企業に対してのアドバイスをお願いいたします。
どんな業種であっても、社員を大切にしていくためには、正当に評価ができる人事評価制度は絶対に必要だと思います。
弊社のような特殊な業種であっても例外ではありません。
導入後は、経営者や運用を担当する方に「誰のための人事評価制度なのか?」を考えて制度構築や運用をしてほしいですね。
当社でいうと、お客様に接したりモノを作ったりしている、会社を守り動かしてくれているのは社員です。
その社員が輝いてもらうために、どんな制度が必要か、社内のいろんな人と会話して考えてみてください。
あとは、やると決めたら、腹をくくること。そして最初から100点を求めないことです。
評価制度は作って終わりではなく、運用が肝です。
とは言え、運用していく中では、色々な課題が出てきます。
課題に対しては、一人で抱え込んだりせずに、社員みんなで考えて乗り越えていくことを心掛けてみてください。
悩みながら改善を繰り返し、社内で一致団結して乗り越えていくという経験が、制度やシステムそのもの以上に価値があります。
運用の中で困難があっても、導入時に考えた「誰のための人事評価制度なのか?」という想いを振り返れば、挫けることなく乗り越えられると思うので、その想いを大切にして運用を続けてみてください。