社会福祉法人 日本介助犬協会様
- 事業内容
- 介助犬訓練、訓練者養成、希望者への相談、啓発活動、調査及び研究
- 従業員数
- 27 名
- 設立
- 平成16年3月18日
- 所在地
- 神奈川県
- 課題
- 具体的な目標設定と達成感が得られる仕組みづくり/職員の自己肯定感の醸成
今回は、専務理事である髙栁 友子 様に再インタビューを実施し、導入後の効果や導入して苦労していることなど、導入後のお話を伺いました。
【導入直後のインタビュー】は、こちら
人事評価制度を導入された背景を教えてください。
組織として、今後も事業を成り立たせるために、役職者を育成しなければならない。そう考えた時に、人材管理・育成が必要でした。
しかし、私たちの組織規模で人事部はとても作れませんし、人事を担える人材を探すのも費用が掛かります。
それに、社会福祉法人という業種柄、「お金を稼ぎたいから働く」ではなく、事業に賛同してくれる人でないと働けませんから、社会経験が豊富な人よりも、夢や希望に満ちた若い人が集まりやすく、一般企業に比べると、条件を付けて人材を探すことが難しいんです。
私自身は医師という専門職ですので、人事・総務・労務などの分野は勉強しておらず、正直、その分野に関しては、よく分からなくて。(笑)
今は退職してしまいましたが、導入した当初には、組織内で唯一大きな組織を経験した役員がいて、その元役員が毎年口癖のように言っていたのが、「今年の人事はどうする?」でした。
組織人事の知識も経験もない私が考えたところで、最適な判断はできないですし、女性が多い組織かつ、社会福祉事業であることからか、自分の利益や職位よりも“調和”を大事にする職員が多いです。「役職者にはなりたくない」という職員ばかりで…人事に関しては、いつも頭を悩ませていたんです。
そんな時に、元役員が見つけてきたのが、「女性管理職を育てるためには?」というタイトルのあしたのチームさんのセミナーでした。
セミナーを受けてみて、人事評価制度の仕組みをアウトソーシングできる、あしたのチームさんはすごく良いと思いました。ただ、システム自体が良くても、何のノウハウもない私たちだけでの運用は難しいと思っていましたので、人事評価のプロフェッショナルが伴走し、運用をサポートしてくれる、あしたのチームさんが良い。そう思って導入を決めました。
人事評価制度を運用していく中で苦労したこと、また、その局面をどのように乗り越えたのかを教えてください。
実際の目標設定例 目標の内容も、日々成長している
導入当初は、目標設定を立てる時に、評価期間中には達成不可能な大きな目標を立てる職員が多くて、苦労しました。
これは、私たち組織の特徴なのかもしれませんが、「誰かのために役に立ちたい」という思いが強くて、自分に対する理想が高く、「在籍中に達成できるかな?」というくらい、夢のような大きな目標を掲げてしまうことで、評価の時には達成できず、「私の力不足です。」となってしまう傾向にあったんです。
私から、「どんなに優秀な人でも、この期間でこの目標は、誰も達成できないよ。」と伝えたり、逆にできている部分を褒めたり、職員の素晴らしいところを伝えたとしても、職員は、自分の実力不足で目標達成できないと思って、自己肯定感が低い状態のままでした。実は、人事評価制度の導入によって叶えたいゴールの一つに、「どの組織にも劣らない、素晴らしい職員たちの自己肯定感を上げたい。」という思いがありました。
私たちは、社会福祉事業で、介助犬の育成・普及活動をしていますが、それを日本で立ち上げるところからスタートしました。一から立ち上げた業界で同業者も確立しておらず、私たちの事業に心から賛同した、「誰かのためになりたい」という強い情熱を持った職員が自然と集まっているんです。私たちの事業は、寄付金という形で支援していただいて成り立っていますので、沖縄から北海道まで様々な支援企業の方たちが訓練センターに見学に訪れます。どの企業の方からも、一番に褒めていただけるのは、訓練センターの建物や、事業内容ではなく、職員たちの仕事に対する姿勢なんです。「どうすれば、優秀な職員ばかりを集められるんですか?」と、質問されるほど、毎回、職員のことを褒めてもらえるので、本人たちにもそのことを伝えていますが、「そんなことないです。まだまだ課題ばかりです。」と、全然受け入れてくれず、それが非常にもどかしくて。(笑)職員たちに、自分自身の優秀さ、素晴らしさを実感して欲しい。そう思っていました。
目標に関しても、夢や情熱が溢れすぎて、どうしても高い目標を立ててしまうので、いつも押し問答になってしまうんですよね。
私も、職員の熱意や感情に押されて、つい、冷静に話し合えなくなるんです。(笑)
そんな時に、担当コンサルタントが、第三者からの冷静な意見で私たちの白熱した話し合いをまとめてくれました。目標の優先順位の付け方など、人事評価のプロの目線からアドバイスがもらえるので、納得感があります。
人事評価制度は、ノウハウがない私たちからすると、目標一つとっても、「何が正解なのか?」悩むことが多いので、参考にできるような同じ社会福祉事業の事例を持ってきて、それを元に解決策の提案をしてくれる点も、非常に助かっています。
他の組織がどんな目標を立てて、どういう風に人を評価しているのか?あしたのチームさんに依頼していなければ、知る手段すら無かったんです。
担当者コンサルタントがいなかったら、目標設定の何が正解なのか?憶測だけの押し問答で話が進まず、人事評価制度があっても、運用することはできなかったのではないかなと思います。
私たちの事業が寄付金をいただいて成り立っていることから、職員たちは、“お金の使い方”に非常にシビアで、「費用も安くないし、評価業務も大変だしあしたのチームさんは辞めませんか?」という意見が度々出てきます。
しかし、安くない費用を投資してまで導入したのに、途中で辞めてしまうことの方が勿体ないと思うんです。「コンサルタントの費用が高いから、クラウドシステムの契約だけで良いんじゃないか?」という意見もあると思いますが、私は、そうは思いません。
何でもそうですが、システムや人や仕組みは、常に新しく進化しなくてはならないですし、私たちの規模の組織で、人事専任の職員を雇うよりも、あしたのチームさんで担当コンサルタントに付いてもらう方が、価値のある費用だと思うからです。
常に最新の専門知識を持ったコンサルタントから、人事評価に対するアドバイスがもらえますし、仕組みを進化させ、運用を続けることができています。
運用を始めて3年後には、コンサルタントの支援を卒業することを目指す組織もあると思います。
大きい企業であれば、適正な人材を確保して、自分たちで最新の情報をキャッチアップしながら、運用を続けていくこともできるかと思います。
しかし、私たちの組織では、期日管理をしたり、最新の人事の知識でアドバイスができるような人材を確保する方が大変なので、これからもあしたのチームさんに運用をサポートいただきたいなと思っています。
人事評価制度を導入後、どのような効果を感じていますか?
前の質問でもお話ししましたが、導入当初は将来の夢のような大きな目標を掲げ、目の前の仕事にがむしゃらに取り組んでいました。今では、この夢のような大きな目標達成のために3か月、6か月、1年とそれぞれの期間で、現実的な目標を立てられるようになり、その目標達成を意識して仕事することができるようになりました。
これは、人事評価制度で、やるべきことの優先順位をつけて取り組むことや、目標の見直しを実施することの必要性が分かり、その習慣がついたからだと思います。半年間で目標設定・中間レビュー・評価と、運用サイクルを回していくことで、大きな目標に向かって、今は何を優先して取り組むべきなのか?自然と考えられるようになりました。
仕事をしていれば、突然優先度を上げて取り組まなければならないことが降ってきて、予定通りに進まないことも多いので、計画的に取り組むことや、都度優先順位を付けて目標を見直すことは、どんな仕事にも必要なスキルだと思います。社会経験の少ない職員たちに、この大事なスキルが身についてきたことがうれしいですね。
職員の自己肯定感の醸成については、正直まだまだかな?と思いますが、これは運用を重ねることで少しずつ改善されていくのではないでしょうか。以前のように、夢のような大きな目標を掲げて「達成できなかった」と自分を責めて、自己肯定感を下げてしまうのではなく、人事評価制度を使うことで、現実的な目標を立てて、目標を「達成できた」という成功体験を繰り返すことで、少しずつ自己肯定感を上げて自信を持って働いて欲しいです。
また、これは人事評価制度の効果とは関係のない話ですが、あしたのチームさんをきっかけにコーチングの講座を受講し、資格を取得しました。私は、自費で受講して資格取得をしましたが、これから管理職にも取得して欲しいと思うほど、部下と接する上で良い影響を与えてくれました。
コーチングの存在自体は知っていましたが、あしたのチームさんからお勧めされなければ、講座を受けることは無かったと思います。
日々仕事をしていく中で、業務に直接関係ないことに関しては、常に新しい情報を取り入れていくことが難しいと思います。コーチングのように、良いものを知るきっかけとしても、あしたのチームさんの提供してくれる情報は有難く、そこにもコンサルタントの価値を感じています。
今後、人事評価制度を導入する企業に対してのアドバイスをお願いいたします。
私たちのような社会福祉法人にこそ、人事評価制度が必要だと思います。
先ほど、自己肯定感が低い人が多いという話をしましたが、社会福祉法人全体として、その傾向にあります。社会福祉事業という事業柄、自分のためにではなく、○○のためにという精神で何かに貢献したいと強く願う人たちが集まってくるからです。
私たちの事業は、一般的な企業のように、「実績を上げる=会社の発展・個人の収入」とはならず、 個人の頑張りが成果として見えにくいです。“社会貢献”という、素晴らしい夢があっても、その夢の実現に向かってどれだけ頑張れているのか?が、分かりにくく自分の無力さを感じてしまうのかもしれません。ですから、社会福祉のように、自己肯定感が低くなってしまう事業にこそ、自分で立てた目標に対して、自分の頑張りを明確な評価結果として判断できる人事評価制度が必要だと思います。人事評価制度があれば、大きな夢を叶えるためのステップを、短期・中期・長期それぞれの視点で考えられるようになりますし、それぞれ達成までの過程と評価結果を明確にできるので、自分を褒めやすくなるための環境が整ってくると思います。
職員の自己肯定感が上がれば、より楽しく働けると思いますし、楽しく生き生きと働くことができれば、定着率のアップにもつながるのではないかなと思います。
そんな環境を作っていけるよう、一緒に頑張っていきましょう。