クロスシステムサービス株式会社様
- 事業内容
- システム開発・SES
- 従業員数
- 56名
- 設立
- 2011年4月
- 所在地
- 東京都
- 課題
- エンジニアの目標には、スキル項目やテクニカル項目など技術力をあげるための項目も設定していましたが、ITSS準拠の標準的な指標を利用していたので、実際の現場の業務とはかけ離れた内容になってしまっていました。
人事評価システムを導入した理由
社員が評価に納得でき、成長を感じられる制度を目指して
以前の人事評価制度は、他社や私の前職の仕組みを参考に構築したものです。ただ、評価シートにはシステムエンジニア(SE)のスキルアップに偏った項目が目立っていたほか、経済産業省策定の『ITSS(ITスキル標準)』という規格に準拠させて作成していたため、実際の現場の業務内容と乖離している部分が多く見られました。その結果、評価自体が形式化してしまい、社員にとっても納得できる制度になっているとはいえず、実際に「何を頑張れば、自分は評価されるのか分からない」という声も聞こえていました。社員が納得できるように、自分の行動の結果が評価にしっかりと反映され、それをもって成長を感じられる制度に刷新したいと考え、あしたのチームを導入しました。
大変だったこと
SEの業務を数値で計ることの難しさに直面 補完ツールの併用で課題を克服
もっとも苦労したのは、SEの日々の業務をどのように定量的に評価するかを組み立てるところです。SEの場合は、販売職や営業職でいう「売上目標」「成約件数」のように分かりやすい数値を出すことが難しく、たとえば新しいスキルや経験を得たからといって何等かの数値となって表れるものではありません。そこで用意したのが「改善シート」です。被評価者が自身のスキルや経験を元にしてより良いものを作り出す活動を評価します。各々の取り組みを改善シートに記入し、評価者はそれに対して難易度や重要度に応じた点数を付けたり、提出枚数をカウントしたりする、という形で活用しています。ただ、これだけでは数値化するにあたって不十分なので、技術力やプロジェクト推進能力、資料の作成能力など、さまざまなものを数値に置き換えて判断できるよう補完ツールを増やしているところです。一部ではエクセルのシートを用い、クオリティやコスト、納期に応じて付けた点数の総和を数値目標と照らし合わせて評価点を出すことを試験的に行っています。また、SEという職種は、プロジェクトでの実務経験やスキル習得を経て成長していくものであることから、短期間で成果を計ることは難しいと考え、評価期間については四半期ではなく半期としました。
導入後の効果・成果
コミュニケーションの活性化に発展 評価制度以外にも好影響が波及
評価者と被評価者間のコミュニケーションが以前よりも多くなりましたし、それによって評価者の評価能力が格段に上がってきていると感じています。
当社は、評価者と被評価者が同じ現場に常駐しているとは限らないため、離れた現場でコミュニケーションをどう図っていくのかも一つの課題でしたが、ここは「週報システム」を独自で開発し、クラウド上で被評価者が評価者に報告を上げられる仕組みを導入しました。これがあることによって、週単位で自分の掲げた目標に対する進捗をはじめ、業務の課題や悩み、さらにはメンタルの状態を評価者と随時共有できる点は社員から好評です。被評価者には「上司が自分の目標達成のためにサポートしてくれている」という実感が生まれ、評価者への信頼が増しましたし、評価者も「離れた場所にいて見づらかった部分が把握できるようになった」と、フォローのしやすさを感じているようです。
中間面談も、それまでは半年に1度の目標の振り返りのみでしたが、いまでは3か月ごとに中間レビューや評価面談を設けています。目標の進捗と向き合う機会が増えたので、社員一人ひとりの達成に向けたアクション回数もどんどん増えています。
また、評価制度構築の担当者に非エンジニア社員を加えたことも全体的な完成度を高めるポイントになりました。エンジニアとはまったく異なる価値観や考え方で、構築から運用まで進めてくれたのが良かったです。私自身もエンジニアですから、客観的な意見を聞ける点はとてもありがたかったです。その結果、エンジニアの独りよがりにならないフラットな評価制度ができました。
導入にあたっての収穫
評価制度の活用によって行動指針に沿った人材育成が実現
大きく三つあります。一つは、評価制度に対する被評価者の納得度が上がったことです。導入後のアンケートでも「何を頑張れば自分が評価されるのかが分かるようになったので、目指すものが明確になった」というコメントも見られ、このことは導入して本当に良かったと感じた点でした。二つ目は上述のとおり、評価者と被評価者のコミュニケーションが増え、人事評価の話だけではなく、被評価者のメンタルのケア、あるいはスキルの継承にも大きく作用している点です。そして、三つ目は、企業行動指針を人事評価と結びつけたことによって、その指針に沿った人材育成が行えていることです。行動指針をことあるごとに伝えていくのは難しいものの、人事評価の目標の一部とすれば、おのずと行動の反映が常態化されます。当社社員として、より理想的な人材になっていくであろうという期待を持てるようになりました。
今後、実現したいこと
社員が頑張って結果を出せば、会社が伸びるという図式にしたい
会社の方針や中期経営計画にしたがって、部門、課、所属するメンバーへと紐づいて目標が考えられ、さらにはそれを実現できる状態を目指していきたいです。ただ、これをブレイクダウンして考えられるようになるには、論理性に基づいて目標を組み立てられるスキルが必要になるため、まずはその習得が先決です。社員に寄り添いながら、少しずつできるようにしていきたいですね。
これまでの当社はどちらかというとトップダウンの会社でした。上が決めた方針に社員が従うという構図が強かったのですが、社員も増え続けていますし、組織自体の底上げにも取り組んでいるところなので、これからはボトムアップの割合を徐々に増やしながら、社員自身が事業も組織も回せる“自走する組織”を目指し、人事制度だけでなく、さまざまな施策を打ち出せる会社になっていきたいです。
人事評価制度の導入を考えている企業へのメッセージ
「人事評価制度を良くする」という、意欲と信念が重要
「人事評価制度を良くしていこう」という意欲と信念が何よりも重要だと考えています。あしたのチームさんにももちろんご支援いただくのですが、事業内容や会社風土を一番よく理解しているのは自分たちです。自分たちが主体的かつ妥協せずに取り組むことによって、自社に合ったより良い制度を構築することができると思います。
自社の社員が満足できる制度にしたい、社員の成長を事業の成長につなげたい、そういった信念を持ちながら妥協せずに臨むことが成功への近道になるのではないかと思っています。