評価面談が儀式化…。自社構築へのこだわりを捨て、制度構築への再チャレンジが社員のやる気を引き出した様

評価面談が儀式化…。自社構築へのこだわりを捨て、制度構築への再チャレンジが社員のやる気を引き出した

2019年6月ご導入

株式会社高橋

代表

髙橋 賢

※インタビューの内容は取材時のものになります。

株式会社高橋

事業内容
コンベアベルト(ゴム、樹脂)加工販売(現地取替含む)、工業用ゴム製品、 コンベア部品、伝導用部品、物流関連製品、コンベア設計・製作、プラント(搬送ライン)工事等
従業員数
40名
設立
1968年
所在地
富山県
課題
導入前から自社独自の評価シートや査定の仕組はあったが、「わかりやすい評価にしたい」「全社員にとってフェアなものにしたい」という点において納得感がえられないまま、ズルズルと続けてしまい、常にどうにかしなくてはならないと課題感があった。

    人事評価システムを導入した理由

    内製の難しさを痛感 プロの手を借り、制度構築に再チャレンジ

    「社長は私の何を見て評価しているんですか?一緒に仕事していないですよね?」

    これは社員から実際に言われた言葉です。それまでの当社は、社長である私が全社員を査定していました。ただ、40人いる社員一人ひとりをすべて理解しているのかと聞かれると言葉に詰まってしまいます。その状態がフェアではないことは、大きな問題として受け止めていました。そのようなときに出会ったのが、あしたのチームです。とあるセミナーの場でしたが、「評価面談が儀式になっていませんか?」と問われたとき、「あ、うちのことだ」と。すぐに興味が湧きました。

    実は、人事制度の構築にはこれまで何度かチャレンジしています。ただ、業務の片手間に行っている感は否めず、完成することができずにいました。内製にこだわって養成塾にも通いましたが、シート1枚作るのがやっと。しかし、階層別の基準はないので、評価面談はまさに“儀式”です。結局のところ、進歩はありませんでした。その点、あしたのチームは、評価者と被評価者間の話し合いのもと評価を決定できる仕組みがあります。「本来、評価とはそういうものだ」と言われるかもしれませんが、自社だけで構築しようにも、なかなかできるものではありません。『餅は餅屋』のとおり、ここはプロにお任せしてみようと考え、導入を決めました。

    大変だったこと

    評価面談を行う文化の醸成と部下育成の意識付けに苦心

    当社は現場施工を請け負う会社です。一つの現場に決まった社員が毎回出向くわけではなく、営業社員も常に飛び回る環境のため、それまで上司と部下が時間を取ってじっくり面談することは皆無でした。この状態から面談を習慣づけることの苦労がまずありましたね。加えて、これは途中から分かってきたことですが、一次評価者に「自分の部下は、自分が面倒を見る」という意識が希薄でした。先輩世代は後輩世代の面倒を見るという環境と、部下は育てるのではなく育ってくるものという考え方だったため、部下育成に関する社内教育ができていないことも、よくわかりました。

    これらを改善するために行ったのが、ミーティング時間の確保です。当社は現場優先できていたので、評価面談が後回しになっても「そうだよな。お客様も待っているし、現場に行かないとな」という感覚が当初、私にもありました。しかし、それを許容していたら面談はいつまでたっても終わりません。「社員の給料を決める重要な仕事なのに、遠慮していてはダメだ」と考えを改め、一次評価者に「リアルの面談は難しくても、電話やLINEを使えばできるだろう」と、指導を繰り返し、意識付けを行いました。そして、部下育成の意識に関しては、あしたのチームさんのご指導を仰ぎました。担当の方の、言うべきことを遠慮なく言うスタンスは非常に良かったです。私が口酸っぱく言ったところで、社員は「社長が何か言ってる」で終わってしまいますが、外部からの指摘には耳を傾けるところがありますから。評価者によって濃淡は残るものの、いまは会社があるべき姿に少しずつ近づいていると感じています。

    導入後の効果・成果

    業務効率化の好例が生まれ、今後の期待が持てた

    営業サポート部門の社員が業務効率化の一環として在庫棚の整理を目標に取り組んだ結果、10数年手つかずの棚が見違えるほど整頓され、部品の取り出しにかかる時間と労力が大幅に短縮されました。評価者も「文句なしに満点をあげたい。こんなに変わったことはない」と高く評価していました。これは一つの例ですが、このような業務改善、業績アップにつながる変化が随所で見られるようになればいいな、と思っています。毎日の小さな取り組みが、数年後に大きな変化として表れることがあるとおり、当社も5年前10年前と比べたらすでに変わっているところがあるのかもしれませんし、将来そういう姿を見せてくれる社員が沢山出てくることにも期待したいです。

    導入にあたって一番の収穫

    評価によって昇給が決まる明快な仕組みが社員のやる気を引き出した

    評価制度をベースに昇給が決まる仕組みをつくれたことです。いまでは一次評価者と被評価者と私の三者で、一つひとつの項目を確認しながら評価を決定しているので納得度もありますし、導入前と比べて給料もベースアップしています。

    実は導入時にあしたのチームの方から、「社長、評価結果が出たあとに調整はしませんよね。『会社として受け入れる体力がない』と言わずに受け入れる、その腹は決まっていますか?」と聞かれました。もともと当社は給与水準が比較的高く、それに沿って仕組みをつくると、半年で大幅に給料がアップする社員が出てくることになります。これをためらって制度導入をやめれば、会社は資本を残せますが、人事評価がないがしろのままでは、資本を生んでくれる社員はどうなるのか――そう考え、ここは腹を決めて、成果を出した社員はしっかり昇給させることを貫いています。頑張った分だけフィードバックされることは、社員もまた理解していると思います。

    今後、実現したいこと

    業績と連動した評価制度に進化を遂げたい

    これからは業績につながるように人事制度を活用していきたいですね。お客様満足度を自己と会社の成長に結びつけて給料を上げ、社員の誰もがよりよい人生を設計できる会社にしたいです。その原資を生み出すために、日々の意識や考え方も業績と連動させていく必要を感じています。一次評価者からも「社員主体で決めた目標が業績とつながっていないのに、給料が上がるのはおかしい」という声があがり、是正する動きが出始めています。このように、会話の中身が少しずつながら前進していることも、私にとって嬉しく頼もしいこととして受け止めています。

    人事評価制度の導入を考えている企業へのメッセージ

    事業承継者として、会社の未来をつくっていくために

    人事評価制度の必要性は、どの会社も感じていることと思います。当社もまさにそうでした。それなのにしばらく遠回りしたのは、オリジナルをつくることに固執してしまったからであり、その結果、当社は二の足を踏むことになりました。この経験から言えるのは、「既成品でよいので仕組みを入れることが先決」ということです。実際、あしたのチームの資料を見たとき、「これが全部できたらすごい!」と思いましたし、そんな社員ばかりが集まったのなら、会社もすごく変わるだろうと期待もしたものです。ですから、「うちは特殊だから独自につくらなければ」と考えなくても大丈夫です。まずはすべての会社に共通するベースだけでも、プロのサポートのもと導入することをお勧めします。その結果、社員が少し変われば、それだけでも会社は変われるはずです。

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      ※デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社
       HRTechクラウド市場の実態と展望2019年度版」より。

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