マクソンジャパン株式会社様
- 事業内容
- 電気モータの開発・製造・販売
- 従業員数
- 18名
- 設立
- 1986年8月
- 所在地
- 東京都
- 課題
- 経営方針の実現のために会社と社員の方向性を揃えたい/社員のモチベーションアップに繋がる仕組みを構築したい
今回は、代表取締役の船所匡司様と、人事評価制度の運用を担当されている業務部 部長の藤田勝憲様 にお話を伺いました。
※インタビュー内容は、2023 年1月24日取材時のものになります。
人事評価制度を導入された背景を教えてください。
船所様:
人事評価制度を導入した目的は2つありました。
ひとつは、会社から社員への情報共有ツールにすること。もうひとつは、社員のモチベーションアップに繋げ成長するための仕組みを作ることでした。情報共有ツールについては、以前から相談していた経営コンサルタントの方と 「会社として定めている経営方針を実現するためには、社員の協力が必要。そのために、社員にも同じ方向を向いてもらうための情報共有が必要だよね」 という話をしており、会社からのメッセージを社員に伝えるために、何かいい仕組みを作らなければいけないと考えていました。
また、社員の成長やモチベーションアップの仕組みをつくることについては、社員からの声をきっかけに考えるようになりました。当時、社員の給与を私の感覚的な評価で決めていて、評価記録も残していませんでした。「なぜこの評価なのか」「なぜこの給与なのか」について誰も分からない状態で、社員から不満の声が出ていたんです。そこで、公平で納得感のある評価をするために、透明性のある人事評価制度を策定しようと決めました。最初は、元々お付き合いのある経営コンサルタントに依頼し、制度を作ってもらうことも考えました。しかし、クラウドシステムを使って運用したかったこともあり、藤田さんを社内責任者に任命して導入システムの選定を始めました。
藤田様:
私が責任者を任され最終的に5社から話を聞きました。あしたのチームさんは、制度構築や運用のコンサルティングとクラウドシステムをセットで提供してくれるところが魅力でした。もう一つ条件があり、少人数で制度を回すためのノウハウを求めていました。弊社は、世界40か国の拠点を合わせると従業員が約4000名の大企業ですが、日本拠点の従業員数は20名弱の少人数で運営しています。あしたのチームさんは、多くの中小企業の導入事例があり、豊富なノウハウを持っているので求めていた条件にぴったりでした。
船所様:
提案に来てくれた担当コンサルタントの人柄も、導入の決め手です。弊社の課題を親身になって聞いてくれて、解決のために「次はこうしていきましょう」と一緒になって考えてくれる姿勢を見て、安心して任せられると思いました。
人事評価制度を運用していく中で苦労したこと、また、その局面をどのように乗り越えたのかを教えてください。
船所様:
何事も継続することが一番大変です。人事評価制度の運用も、社内担当者である藤田さんとあしたのチームさんの担当コンサルタントがいなければ継続できなかったと思います。
藤田様:
人事評価制度を継続していくためには、制度が自社に合うように常にアップデートしながら運用することが大事だと思います。
どれだけ最初に作りこんでも、実際に運用してみると「上手くいかないな」と感じる点が出てきます。それをその都度、改善していかなくてはなりません。弊社は、運用を始めて2年半経ったタイミングで評価期間を四半期から半年に伸ばし、行動目標の最大項目数を7項目から4項目に減らすという見直しを行いました。導入当初から、「毎月面談があるから忙しすぎる」「項目数が7個もあると、何を優先して頑張れば良いのかが分からない」といった社員の意見はありましたが、まずは“社内にシステムを浸透させること”を優先し、このタイミングでの変更としました。変更してみると、長いスパンで実施しているプロジェクトの評価がしやすくなったことや、落ち着いて目標に取り組めるというメリットがありました。しかし、半期運用になると社員が目標を忘れている期間もあり、間延びしている感が出てきました。この点は、これから改善が必要なところです。
他にも、技術サポートの社員だけ、行動目標の評価を職務評価に変更しました。技術サポ-トは、コンピテンシーに当てはめて行動を評価することが難しかったんです。あしたのチームさんの担当コンサルタントに相談し、運用事例を見せてもらいながら、やるべきことを会社が予め付与して運用する職務評価のような目標に変更することに決めました。これによって、技術サポートがやるべきことを明確にすることができました。今期からはセールスエンジニアも行動目標を職務評価に変更しての運用を始めています。
船所様:
弊社の営業メンバーは社歴も長く、それぞれが自分のやるべきことを理解し、自分を律しながら成果を上げていくタイプです。そのため、細かく指示されることが苦手な傾向にあり、導入当初の人事評価制度が上手くハマっていませんでした。今の行動がすぐに売上に結びつくわけではなく、5年後の量産案件に繋がるなど、行動が成果に繋がるまで時間がかかり、景気によって売上が左右されることも多分にあります。自分の行動が半年や1年後に成果に結びつくイメージが湧かず、行動目標を立てることに苦戦していました。行動目標を自ら考えるのではなく、職務評価で会社からやるべきことを明確にしておくことで、当初感じていたアンマッチ感は軽減されました。会社から付与する職務評価の目標を達成することで、自分の成長を感じてくれたらと良いなと思っています。
社員の成長の先に会社の成長があり、成果に繋がると考えているので、成果を上げるためにやるのではなく、まずは自己成長のために取り組んで欲しいと思います。
人事評価制度を導入後、どのような効果を感じていますか?
船所様:
あしたのチームさんの人事評価制度は、目標管理制度なんですよね。導入前までは年に一度の営業会議で方向性を伝えていましたが、今思えば、“年に一度、笛を吹くだけ”の状態でした。導入後は、評価期間ごとに私から会社の方針を発表し、それを各部署の目標に落とし込み、更に個人の目標に落とし込んでいくという流れができました。これによって、会社の目標を達成するための個人のやるべきことがイメージしやすくなりました。
藤田様:
過去には、「頑張っていることを評価して欲しい」と、評価を求める声が上がっていたんです。しかし、評価する立場からすると、「何をどう頑張っているのか」「その頑張りが会社にどう貢献しているのか」を判断することができず、「頑張っている」という主張だけで評価を上げることはできませんでした。せっかく頑張ってくれていることがあるのに、それが可視化されておらず評価をしてあげることができないという状態だったんですよね。導入後は、人事評価制度の仕組みのおかげで、社員は根拠をもって自己アピールできるようになりました。これが根本部分の大きな変化でしたね。
面談というコミュニケーションの機会が出来たことで、情報共有やベクトル合わせ、進捗管理、振り返りなどを定期的に実施することが出来ています。社員の不満も聞けるようになりましたし、社員と意識の相違があったことにも気づけるようになりました。数字の話だけでなく、これから目指していく方向性について話し合いができるようにもなっています。
私は、この面談をとても重要なものと考えていて、意識して取り組んだことが2つあります。
1つめは、週次で部下全員との1オン1やミーティングを実施し、社員一人ひとりの声に耳を傾けることです。会議では発言できなかった人も1オン1だとアイデアをあげてくれます。1対nではなく、一人ひとりに進捗管理やアドバイスをすることで、被評価者が自分事として捉えやすくなりました。導入当初は「こんな風にやろうよ」と評価者側が主体で進めていた面談も、今では、「○○をしたいので、実現するためのアドバイスをください」と、被評価者主体で進められるほど成長しました。
2つめは、ルールにとらわれず社員の成長段階に合わせた面談を実施することです。入社したばかりの社員には、面談の中で評価制度の説明から実施しています。評価制度の目的や内容を理解してもらった上で、私から「これから何を目指してほしいか」など提案し、本人のやりたいこととすり合わせをしながら目標を決めていくので、推奨時間の30分を過ぎることもありました。逆に、ベテランの社員だと5分10分で面談が終わることもあります。自己成長を実感できれば、被評価者が自ら考え動いてくれるようになるので、社員一人ひとりの状況に合わせて、被評価者に任せる範囲と評価者が導いてあげる範囲を見極めるよう心がけています。最終的には、被評価者が主体となって自己成長できるよう導いてあげることが、評価者の重要な役割だと思います。
ちなみに、あしたのクラウド®には、それらの面談記録を蓄積することが出来るので、効率的に会話を進めることができ助かっています。面談を中心にお話ししましたが、人事評価制度の仕組みによって、社員が自己成長するために必要な行動や意識、考え方が少しずつ見に付いてきたことが、導入から得られた大きな成果だと思います。自分の目標達成(=自分の成長)が会社の成長に繋がると理解できたことで、自分の仕事の領域外まで、自ら「やりたいです」と志願してくれるようになった社員もいます。自分のできる仕事の領域を広げていくことで、弊社内だけでなく社会で通用するための自己成長に役立てて欲しいと思っています。
船所様:
弊社では人事評価制度の導入後にリモートワークを始めましたが、障害もなくスムーズに移行できました。人事評価制度で面談の習慣ができていたことや、いつでもどこでも面談内容を記録することができる、使いやすいクラウドシステムのおかげだと思います。
人事評価制度を導入する企業に対してのアドバイスをお願いします。
藤田様:
『人事評価制度』と言われますが、評価することだけを目的にしない方が良いと思います。あくまでも、目的は個人の成長に繋げることであって、被評価者・評価者間でしっかりとすり合わせを行い、納得感を得ながら運用をすることで上手くいき、運用による効果が得られるものだと思います。評価結果は、成長過程を記録するための副産物として捉えると良いのではないでしょうか。
船所様:
藤田さんに同感です。社員の成長を促すための“目標管理制度”として運用することをお勧めします。導入後は、被評価者も評価者も評価業務の負荷が増え大変です。特に部下の多い上位管理者は、その分多くの時間を費やす覚悟も必要です。評価するためだけの仕組みとして導入すると、「こんなに大変なのに、続ける意味はあるのか」と挫折してしまうと思います。しかし、成長のための仕組みとして捉えることで、大変さの中でも成長を実感できた時にはモチベーションが上がります。それによって、運用も形骸化することなく続けていくことが出来ると思います。
あしたのチームさんは、数多くの導入実績から様々なパターンを提案してくれますが、そのままの形で運用を続けても、必ずしも自社にフィットするとは限りません。自社に合った形に変えながら、3年、4年と継続して運用していくことで、徐々に自社に合った内容になっていくものだと思います。1年経つと人も変わるように、評価制度も常に変化させながら運用を続けていくことが大事だと思います。