株式会社セキュリティロード様
- 事業内容
- 交通誘導警備、イベント警備、駐車場警備、施設警備、高速道路警備、列車見張
- 従業員数
- 550名(2019年)
- 設立
- 1987年11月
- 所在地
- 宮崎県
- 課題
- 人事評価や給与に関する 不満が匿名アンケートで噴出
人事評価制度を導入した理由
代表取締役社長 齊藤 慎介様
人事評価や給与に関する不満が匿名アンケートで噴出
不透明な人事評価に対して、多くの社員が不満を抱いていたからです。当社は父が創業し、私は2代目。2017年の社長就任後、全社員から匿名でアンケートをとりました。
会社を改革するために、現場の要望や不満を正直に書いてもらったんです。すると、社内規定や人事評価、給与・賞与などに関して、厳しい意見がたくさん寄せられました。
当時は経営幹部の感覚に依存したアバウトな評価。「どれくらい働いたら、どれくらい給与がもらえるのかわからない」「やりがいが見つけられない」「この会社にずっといる価値がない」…。アンケートを機に社員の本音を知り、適正な評価制度の必要性を痛感しましたね。
とはいえ、全社員の総意ではありません。いざ新制度の導入を本格検討すると、一部の古参社員から反対意見が聞こえてきました。
それでも導入を決めたのは、設計思想に共感したからです。
あしたのチームの仕組みは行動目標と成果目標のバランスがよく、昇給の機会が1年間に2回ある。絶対にいい制度だと確信したので、2019年から運用をスタートさせました。
導入後の効果・成果、今後の取り組み
権限移譲が進み、新任の役職者が増加。離職者は減少
まず評価面談や中間面談などを通じて、上司と部下のコミュニケーションが活性化しました。
そこから評価制度に前向きに取り組むスタッフが増え、人材の成長が加速。権限移譲も少しずつ進み、新たな役職者を増やすことができました。
導入前と比較すると、離職者も減りましたね。その一助となったのが「プロフェッショナル・レポート」。サンクスカードのように、優れた仕事ぶりを社員同士で称えあう承認ツールです。
そのレポート提出数を全社員の評価項目に盛りこんだところ、互いを認めあう文化が浸透。
社内の雰囲気がよくなりました。
今後は制度運用を通じて、社員がイキイキと働ける会社をつくりたいですね。
そして一人ひとりに仕事の夢や目標を持ってもらい、それを実現できる環境を整えたい。その近道は企業規模の拡大です。
組織が大きくなると、専門的な部署や職種が必要になる。
自ずと仕事内容も多様になり、個々の長所や能力を高められるでしょう。
受賞部門の効果を上げた秘訣
社内環境の整備、求職者への訴求、攻めの拠点開設
特別な秘訣はありません。
当社が採用者数を伸ばせたのは、3つの要因によるものです。
1点目は、社内環境の整備。評価制度を通じて管理職が育ち、円滑にマネジメントできる体制が整いました。並行して離職率も下がったので、新人スタッフがすぐに辞めてしまう懸念もありません。
2点目は、求職者に対する訴求。
採用情報ページで適正な人事評価をアピールし、募集要項には「評価制度による年2回の昇給あり」などと明記しています。面接でも詳しく説明しており、今後もウリにするつもりです。
そして3点目は、コロナ禍の経営判断。
イベント警備の仕事は激減しましたが、不景気になると求職者を集めやすくなります。そこでピンチをチャンスに変えるため、今年6月に新たな営業所を開設。
鹿児島の中心部に進出し、多数の人材を採用できました。いまは堅調な交通誘導警備の案件に注力しており、昨年度と同等の業績を維持しています。
経営幹部の視点
本社統括本部 本部長 酒井 智史様
社員が互いに関心をもち、認めあう風土を育む
新制度を検討していた頃は、期待と不安が入り混じっていました。正当な評価ができる点は楽しみですが、現場の負担が気がかりで…。実際、最初は目標を立てる段階から苦労していましたね。
それまで自律的な個人目標はなく、「これをやりなさい」という会社からの指示・命令ばかり。だから、自身の目標設定を急に課せられても、どうしていいかわからない。上司チェック後の差し戻しもあり、現場社員は負担を感じていたようです。
社内の雰囲気が変わったのは、導入の1年後。2回の査定を経て、評価と報酬の連動を実感したからでしょう。ちゃんとやれば正当に評価されて、給料が上がるんだと。
2年目からは目標の立て方がブラッシュアップされ、徐々に行動も変わっていきました。なにより、一人ひとりが他の社員に関心を持つようになりましたね。
それまでは各自が営業所や現場に行って、与えられた業務を行うだけ。同僚はもちろん、上司や部下に対しても無関心でした。
しかし、人事評価を行うためには、部下の目標や仕事内容などを把握しなければいけません。
すると、コミュニケーションが増えて、互いに関心を持つようになる。他者の行動を称賛する制度も併用し、社員同士が認めあう風土を育んでいます。