株式会社スタンデージ様
- 事業内容
- ブロックチェーン技術を使った貿易決済プラットフォームサービス、アフリカ向け輸出事業
- 従業員数
- 20名
- 設立
- 2017年3月
- 所在地
- 東京都
- 課題
- 受け止め方の違いで、チームが壊れるかもしれない。
人事評価制度を導入した理由
代表取締役社長 足立 彰紀様
一律20万円のボーナス支給を機に、組織にヒビが入る
マネジメントの仕組みを採り入れて、組織の崩壊を防ぐためです。当社は2017年の創業。2期目までは生き残るのに必死で、社員一丸となって突っ走ってきました。
3期目に売上が伸び、メンバーも増加。そこで全社員に一律20万円のボーナスを支給したところ、意外な反応が返ってきたんです。
みんな喜んでくれると期待していたら、貢献度の高いメンバーたちから「なぜ私と彼が一緒なのか?」という不満をぶつけられて…。ショックでしたね。当時の社員数は10名ほど。気持ちは通じあっていると思っていたのに、こんなに受け止め方が違うのかと。この状態を修正しなければ、チームが壊れるかもしれない。デスクの奥に眠っていたパンフレットを引っぱり出し、あしたのチームに電話しました。
いま振り返ると、ボーナスに健全な格差をつけて、社員の承認欲求に応えるべきでした。
もしも一人ひとりと向きあって、「本当にありがとう。君のおかげでこれだけ業績が伸びた」なんて声をかけていたら、たとえ15万円でも納得してくれたでしょう。
でも、その労力を惜しんで、安易に一律20万円を選んでしまった。経営者の責務を果たしていなかったと反省しています。
導入後の効果・成果
四半期単位のPDCAで社員のパフォーマンスが向上
組織のベクトルが一致し、社員のパフォーマンスが向上しました。会社の業績向上に比例して、給与水準もアップ。なかにはビックリするほど成果と給与が上がった社員もいます。その一因は四半期単位の評価です。
各種面談や評価業務に追われて大変ですが、そのぶんPDCAサイクルを回すスピードが速い。
スタートアップの成長速度を考えると、最適な周期ですね。
また、この評価制度は外国でも通用します。
当社はナイジェリアに拠点があり、現地でも同じ制度を活用。最近はエンジニアやマーケティング担当者が入社して、事務所から会社組織になりつつあります。今後の課題は管理職の育成。
いまは社長の私が全社員の目標設定面談や評価を行っているので、今後はマネジャーたちを評価者に育てる予定です。
受賞部門の効果を上げた秘訣
経営トップの覚悟が評価制度に魂を吹きこむ
導入から1年が経ち、やっと評価制度の使い方がわかってきました。そのうえで秘訣をあげるとすれば、社長の覚悟です。
あしたのチームのシステムは優れていますが、導入だけでは不十分。多忙を理由に目標設定の期日を延ばしたり、中間面談を省略したりすると、せっかくの仕組みが機能しません。だから、「他業務よりも最優先する」「これで給与を決める」という経営トップの覚悟が必要です。
そして、時間をかけて社員と対話し、目標に向かう視点を一致させる。そんなマネジメントを粘り強く続けていれば、必ず結果が出るでしょう。
まだまだ私は新米社長。最近までミッションやビジョンの伝え方に悩み、マネジメントの本質を考え続けてきました。
現時点の結論は「マネジメントは人材採用・育成・評価の3要素に集約される」という実感。だからこそ、組織が少人数のうちから評価制度を運用すべきと考えています。
現場社員の視点
木原 泰樹様
マイナス査定を経て大幅昇給。ポイントは目標の明確化
はじめは評価制度の重要性を感じていませんでした。まず目標の書き方がわからないし、書いたところで何が変わるんだと。当時は出向していたので、そこで求められる役割もわからない。
なかば適当に目標を設定した結果、最初の半期はマイナス査定になりました。それなりに納得しましたよ。自分でもパフォーマンスの低さは感じていましたから。
次の半期は出向先から帰任し、社長としっかり話しあいました。
私に求められる役割を確認し、会社の方向性や事業の全体像を把握。そして売上や人材採用、マーケティングなど、各分野の個人目標へ落としこみました。
すると、今度はすべての成果目標を達成。以前のマイナス幅を超える給与アップを実現しました。
事業の全体像とゴールまでの道筋が明確になったので、仕事に取り組みやすかったですね。
以前は「何のためにこの仕事をやるのか?」「成果が給与にどう反映されるのか?」など、基本的なことが一切わかりませんでしたから。
今後の課題は、目標のすり合わせです。
じつは直近の四半期において、ある項目の自己評価と社長の評価が乖離しました。これはおかしいと詳細を確認したら、社長の考える評価軸が私の認識と異なっていたんです。
これからは目標設定の初期段階で密接にコミュニケーションをとり、互いに納得感のあるものをつくりたいですね。