サラダボウルグループ(株式会社サラダボウル)様
- 事業内容
- 農産物の生産・販売・加工・小売・企画・開発/農作業の請負/農地の管理/農業経営コンサルティング
- 従業員数
- 380名(評価対象:71名)
- 設立
- 2004年
- 所在地
- 山梨県
- 課題
- グループ農場立ち上げによる人事制度の共通化・より透明性と納得度の高い評価と給与の体系づくり
今回は、人事評価制度の運用とグループのHR(※1)を担当されている、
経営企画室 室長の森 成徳 様、経営企画室 アシスタントマネージャーの田窪 悠 様の2名に
ご回答いただきました。
(※1)HRとは、人的資源を企業の中核的な資産と位置付けた上で、人の能力を引き出すことを使命とする仕事のこと
人事評価制度を導入された背景を教えてください。
森様:
弊社は、2004年に創業してから、世界でも最先端の統合環境制御型大規模グリーンハウスを運営するグループ農場を全国に展開してきました。
運営する農場の数が増え、農場間の人材交流が多くなったことをきっかけに、グループとしての経営理念・価値基準(Mission・Values)を整理するとともに、農場ごとに整備してきていた人事制度の共通化に取り組みました。
人事制度の根幹の1つである、等級・評価・報酬制度の整備方針を検討していた時、弊社代表取締役(以下、代表)が既にあしたのチーム®を導入していた知古の企業様の話を聞き、紹介を受けたのが導入のきっかけです。
あしたのチーム®は、数値目標と行動目標、2つの軸で評価できるので、業績結果だけでは捉えられない個人の取り組みや努力を反映できるところが、弊社の業務体系にマッチしていたので決め手になりました。
人事評価制度を導入後、どのような効果を感じていますか?
田窪様:
まずは被評価者としての立場でお話すると、“何を頑張れば評価されるのか”が言語化され、明確になることで、仕事への姿勢に変化が生まれました。
等級制度で「アシスタントマネージャー」などの新しい職位が設けられたことで、キャリアアップの道筋や今後のキャリアパスが描きやすくなったのもモチベーションアップに繋がっています。
目標設定・中間レビュー・評価のサイクルを四半期で実施するため、何らかの理由で取り組みにつまづいて進捗が滞ったとしても、『どうすればできるのか?』を1.5か月ごとに考えることができます。短い頻度でその都度、成長を実感することができるのも良いですね。
森様:
等級・評価制度が整備されたことはもちろんですが、報酬制度が整ったことにも大きな意義があります。より透明性のある給与体系ができたことで、社員の方への説明責任を果たせるようになり、報酬決定への公平性も担保されるようになりました。
例えば、中途社員が新しく弊社グループに入社する場合、あしたのチーム®の導入前にはその方の給与額を、『この方の経歴とスキルを加味しつつ、今の弊社の全体的な給与水準を踏まえるとこれくらいかな?』などと、都度代表とすり合わせて決定していました。
代表の中にはもちろん、『こういう方はこのくらいの給与水準』というロジック・尺度がはっきりとあるのですが、弊社グループの事業フェーズが進み、入社する社員の方の多様性が増していくにつれて、整合性が取りづらい環境が生まれつつあり、グループ共通での判断基準を明確にする必要が出てきていました。
あしたのチーム®の導入によって「役割に応じた給与設計」であることへの納得度と透明性を確保しやすくなりました。
導入をきっかけに、等級制度や報酬制度を整えたことで、社員への給与の根拠も示しやすくなり助かっています。
話し始めると、実感している導入効果って結構ありますね(笑)
弊社では、価値基準(Values)の1つとして、“安心し、誇りを持って、長く働けるように”という考え方を掲げています。
まだまだ道半ばではありますが、この価値基準の実現に、あしたのチーム®は大いに役立っています。
加えて、弊社グループの価値基準(Values)には“人を育てられる人に”というものもあります。
あしたのチーム®の導入によって、この価値基準の実現スピードも早くなりました。
田窪さんの話にもあるように、被評価者は1.5か月ごとに“目標を実行するためには、どうすればいいのか”を評価者と話し合うことができるため、以前と比べて学習サイクルと成長スピードが早くなりました。
被評価者にフィードバックする機会を高頻度・定期的に持つことにより、評価者、すなわち各農場の事業所長の育成支援にも繋がっています。
導入前から、事業所長同士の交流はあったものの、 社員の評価基準や事業所ごとの具体的な目標などといった細かい内容までは共有できていませんでした。
導入後は、年に1回以上、代表と各事業所長が集まり、査定会議を実施しています。
査定会議では、グループ全体の発展と個々人の能力開発を実現するにはどういう目標を立てて取り組むべきか、各職種・職位毎の役割期待に照らし合わせながら、具体的な数値目標や行動目標、評価基準のすり合わせなどを行っています。
事業所長同士が共通の目標に向かって、目線を合わせるだけではなく、意見交換をしながら、互いに高め合えることができるようになりました。
人事評価制度を運用していく中で苦労したこと、また、その局面をどのように乗り越えたのかを教えてください。
田窪様:
運用担当者としての目線と、被評価者としての目線でお話ができればと思います。
まず運用担当者としては、数値目標を作成するのに苦労しました。
農場の数値結果に間接的に貢献しているような職種・職位の方は、定量的な目標を抽出することが難しいケースがありました。
これを克服するためには、HR(※1)が現場の業務を理解し、リアリティ高く数値目標に落とし込む努力を重ねることが非常に重要でした。
各事業所長と毎週ミーティングをして、私が作った数値目標のたたき台にフィードバックをもらって、修正して…を繰り返したり、業務理解を深めるために日次・週次・月次単位でどんなことに取り組んでいるのか、現場社員にヒアリングもしました。
数値目標の項目を作るまでが一番大変でしたね。
次に被評価者の目線で言えば、導入初期の頃は、自ら目標設定することに苦労していたと思います。
あしたのチーム®を導入するまで、自分で目標を立てる機会は多くなかったため、あしたのチームさんの研修を受けたり、担当のコンサルタントさんからアドバイスをもらったりしながら、徐々にできるようになっていきました。
何事もそうですが、「最初から完璧に!」とはいきません。とにかく、目標設定と振り返りのサイクルを継続的に重ねていくことが大切だと思います。
導入当初苦労していた目標設定も、今では、行動目標の記載欄に『2点は○○、3点は○○、4点は○○』のように評価基準まで記載できるようになっています。
運用を重ねる中で自然と誰かが始めたことですが、今では全員が達成基準まで記載するようになりました。
森様:
HR(※1)全体を取りまとめる役割の私の場合、人事制度全体や等級制度を形作る段階が、最も抽象的な課題が多く、難しかったですね。
人事制度って「真っ白なキャンバス」のように、唯一の正解はなく、導入する会社の方針次第で自由に設計・運用できるものだと思っています。
ある意味で自由度が高い「人事制度のキャンバス」に、何をどのように描き形にすべきか、当初は非常に悩みました。
代表の「弊社グループの組織のあり方や社員のキャリアパスを、今後こうしていきたい」という想いを言語化すること。そして、それをどうすれば現場にわかりやすく伝えられるのか考え、制度を作り上げることが、特に難しかったです。
例えば、等級制度も代表の中にある構想を文章や図にして整理し、それを何度もすり合わせてようやく完成したんです。
導入初期のこのような苦労も、弊社のValuesである“ベスト・プラクティス – あるべき姿に”を目指す上では必要なことだったと感じています。
(※1)HRとは、人的資源を企業の中核的な資産と位置付けた上で、人の能力を引き出すことを使命とする仕事のこと
導入を知った時と比較して、運用していく中で感じたギャップがあれば、教えてください。
田窪様:
導入が決まった時、実は私は、HR(※1)には所属しておらず、農場に所属して現場管理の役割を担っていました。
それもあり、『難しそうな取り組みが始まったな…』『評価のための業務になって、モチベーションが下がってしまうんじゃないか?』という不安な気持ちが自身の感情の大半を占めていました。
運用が始まって1年弱は、自分と同じように、不安を抱えている社員が多かったんじゃないかと思います。
しかし、運用を繰り返すうちに、“目標を立て、振り返りを行い、成長すること”と“会社が今以上に良くなっていくこと”の繋がりを感じられるようになって、ポジティブな印象に変わりました。
森様:
HR(※1)の観点としては、運用が始まる前は、あしたのクラウド®は単なるツールの1つだと思っていたんです。
システム上に職位・職種を設定したり、社内の目標設定や評価のための情報を入力・確認したりと、事務的に・淡々と制度を運用するためのツールに過ぎないと…。しかし、実際に導入を始めてみると、全く違う印象を受けましたね。
導入することで、“今誰が何に挑戦しているのか、何を自身の成長課題として捉えているのか”が分かり、社員それぞれの取り組みや活躍を給与制度に反映できるようになりました。
弊社グループで共通化した「評価制度への考え方」を元に、より高い透明性・公平性・整合性を担保した上で、これまでにない新しい評価・報酬制度が実現できることに気がついたんです。
これは良い意味でギャップでした。
今後、人事評価制度を導入する企業に対してのアドバイスをお願いいたします。
田窪様:
人事評価制度を実際に導入してみて感じるのは、制度を構築すること以上に、運用していく方がもっと重要で難易度が高い、ということです。
人事評価制度を導入することを考えた時、制度が出来上がるまでの構築段階に高いハードルを感じるかもしれません。
弊社グループのように0から制度を作る場合も、既に使っている既存の制度があって再構築する必要がある場合も、制度を作り上げたり、項目を考えたりすることには苦労が多いと思います。
ですが、実際に導入を進めるにつれて、継続的な制度の運用・改善が最も大切なことだと強く実感するようになりました。
“運用の中で自社に合うように、どれだけ小さな改善を積み重ねていけるか”が、人事評価制度において一番大切なことだと思います。
制度を改善していくためには、一緒に運用を進める現場と地道なコミュニケーションを重ねることが必要です。
実運用の中で、担当者として判断に迷うことが多々あると思います。
そんな時、あしたのチームさんの担当コンサルタントの方に相談すれば、他社様の事例やこれまでのデータを踏まえた上でのアドバイスがいただけるので、安心して進めることができました。
運用で悩んだり、迷うことがある時は、自分たちだけで解決しようとせず、実績のあるあしたのチームさんに相談することをお勧めします。
森様:
人事評価制度は、導入企業の社風・価値観や、社員に期待すること、事業フェーズなど、その実情に合わせて自由に設計できるものだと思います。
会社の方向性や社員への期待などを人事制度を通じて表現し、「こんな企業体にしていきたい」というミッションを叶えるための有効な手段の一つとして使っていくことをお勧めします。
人事制度を構築し運用していくのは、確かに時間とエネルギーが必要です。
しかし、導入したことで社員の仕事に対する真剣度がさらに強くなりました。一定の投資は必要なものとして捉え、焦らず地道に運用や改善を積み重ねていくことで、さまざまな効果を実感できると思います。