やりがいを求めている若手社員には、仕事の意義を示すことが欠かせません。社員に働く意味や目的を理解させ、エンゲージメントを高めることが重要です。エンゲージメントとは一般的に、社員一人ひとりが企業の掲げる目標や戦略を的確に把握して、自発的に能力を発揮する貢献意欲とされています。仕事のやりがいを求めている若手社員の現状や意欲の引き出し方、今と昔の違いなどを見てみましょう。
若手社員は「仕事のやりがい」を求めている
産業能率大学が2014年1月に実施した「ビジネスパーソン調査」によると、企業で働く20代の若手社員395人に「仕事をする上で大切にしていること」について調査した結果、最も多いのが「仕事のやりがい」で31.4%でした。
2位以下は、「給与の高さ」が17.0%、「良好な人間関係」が16.2%と続いています。ドライと思われていた20代の若手社員は給与や人間関係より、仕事のやりがいを最も重視していることは特筆すべき特徴です。
仕事にやりがいを感じるのは難しいのが現状?
次に、「イキイキ(やりがい)と仕事をしているか」にという質問ついての調査では、「やりがいを感じている(あてはまる、どちらかと言えばあてはまる)」という回答が42%。「やりがいを感じていない(あてはまらない、どちらかと言えばあてはまらない)」という回答は58%でした。
このデータからは、20代の若手社員は仕事のやりがいを何よりも大切にしているものの、現実には仕事でやりがいを感じることが難しいという実状が浮き彫りになっています。
若手社員のやる気を引き出すには仕事の意義を示すこと
どんな企業や組織にも、矛盾や不合理な側面はあるものです。企業として課題の改善を目指すことは当然ですが、せっかくやる気がある若手社員がいるのですから、そうでない社員も巻き込んで意欲的に仕事に取り組んでもらうことが大切です。
そのためには、働く意義や目的を明確にすることが重要です。加えて、公平で透明性のある人事評価制度を導入・運用し、社員のエンゲージメントを高めることが企業には求められます。評価の結果は、昇給や昇進によって適切に社員に報いることも大事な要素です。
社員のエンゲージメントを高める効果
若手社員のやりがいやエンゲージメントを高めると、企業への愛着心が強くなり、会社のために献身的に仕事に励むようになります。このような社員が増えると組織の士気が高まり、結果的に全体の底上げに繋がります。
社員が効率的に働き、生産性が向上することは、企業の業績アップに直結します。社員のエンゲージメントを高めると品質やサービスがアップするという研究結果が近年、注目されています。社員の自発的な貢献意欲は、企業の経営目標や戦略的なビジョンを達成する大きな原動力と言えます。
今と昔の違い
かつての日本の企業では、会社へ貢献するためには長時間労働やサービス残業が当たり前という風潮が蔓延していました。ブラック企業と揶揄(やゆ)される違法な長時間労働を常態化させている会社は、残念ながらいまだに数多く存在しています。
確かにこれまで、仕事にやりがいを求めると、それに比例して仕事量は増えていました。企業や上司も、遅くまで働いていると頑張っているという間違った評価をする傾向も見受けられました。
しかし、終身雇用で生涯生活が保証される時代は終わり、働き方や労働に対する考え方も変わりました。古い体質のままでは社員の生産性は低下し、心身の健康を損なう恐れさえあります。ワークライフバランスの推進も時代の流れに乗って普及しています。
長時間労働による過労死や自殺がメディアで取り上げられることで、ようやく政府も重い腰を上げて「働き方改革」を後押しするようになりました。
ITやAIの登場で激変するビジネス環境
ビジネスの世界でも、かつては若手社員と言えば年功序列や終身雇用制度の下で一つの会社で定年まで勤め、出世を目指すことが一般的であり、やりがいでもありました。
ところが近年、IT(情報技術)やAI(人工知能)の登場で、ビジネス環境は大きく変わろうとしています。ひと昔前に比べても、流行り廃れのスピードは速く、急な経営戦略の見直しや変更を余儀なくされることも珍しくありません。
このような時代に激しい競争を勝ち抜くためには、若手社員の育成に力を入れ、やりがいや意欲が引き出せるようなエンゲージメントを高めることが大切なのです。
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