働き方改革関連法の施行前は、働き方改革とは具体的にどのようなことなのかあまり実感できていなかったビジネスマンも多いのではないでしょうか。
しかし、そんな人でも、ノー残業デーの実施や休暇取得の推進など職場で最近実施されているさまざまな施策や、具体的な関連法の適用によって、「改革」の実感も徐々に湧いてきているのではないでしょうか。
働き方改革の現状
政府主導で提案された働き方改革は、日本企業における労働環境を大きく変化させるものです。企業は就業ルールなどの変化を求められており、労使の関係を根底から改善していくものといえるでしょう。その意味で、企業は非常に大きな役割と責任を負っています。
働き方改革は、多くの雇用関連の法律を改正しながら進められています。働き方改革関連法は企業に実行の義務を規定しているものが多く、企業は具体的な対応を経営計画に盛り込む必要があります。
厚生労働省による働き方改革の主な取り組みには次の7項目があります。
- 長時間労働の是正
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- ダイバーシティの推進
- 賃金引上げ、労働生産性向上
- 再就職支援、人材育成
- ハラスメント防止対策
「長時間労働の是正」においては、従業員の労働時間の上限が法律で明確に規定され、罰則規定もあります。職場では残業を減らすための具体的な施策が進められています。
例えば、「ノー残業デー・ノー残業ウィークの設置」「残業の事前申請の義務化」「残業削減に対する人事評価への反映」「ITツール導入による効率・生産性向上」「クライアントへの働きかけ」など、多様な取り組みによって残業や時間外労働の削減に成功している企業があります 。
多くのビジネスマンが、上記取り組み以外にも、トップメッセージや会社のホームページに掲げられた自社の考え方などを目にしていることでしょう。また組織内に働き方改革の推進プロジェクトチームが作られるなど、組織変革や業務変革も進んでいるはずです。
働き方改革はいつから考えられていたのか
日本の課題である少子高齢化による労働力不足や生産性の低下、多様な働き方へのニーズに対する施策については、過去から対応が検討されていました。
働き方改革として明確にスタートを切ったのは、2016年9月に政府が「働き方改革実現推進室」を発足させてからです。働き方改革の政府対応のスピードは速く、識者で構成された「働き方改革実現会議」での検討を経て、2017年には「働き方改革実行計画」が発表されています。
そして2018年7月には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)が成立し、働き方改革は法的にも効力を持つ政策になったのです。
2019年4月から、時間外労働の上限規制や有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の努力義務などが順次進められています。
働き方改革でこれから何が始まるのか
職場においては、すでに、残業を減らす施策や有給取得を進める施策がスタートしていることと思います。企業によっては、ITシステムを活用して、テレワークを使用したり、在宅ワークの制度やフレックス制の勤務時間体制を採用しているかもしれません。
今まで就業規制により制限されていた副業や兼業も、パラレルキャリアの推進やスキルアップなどのために解禁する企業も増えているでしょう。
ダイバーシティの推進として、女性の管理職を増やす施策や、女性が働きやすい環境整備への取り組みも進んでいます。従業員のライフサイクルに合わせた子育てや介護への柔軟な対応、外国人やシニアの採用も、これからの人手不足社会においては重要な施策の一つになります。
働き方改革で企業にとって最も大きな対応を迫られるものの一つに、「同一労働同一賃金」の導入があります。同じ職場で同様の仕事をしているならば、正社員も非正規社員も同様の待遇を得るという考え方で、賃金の他にも賞与や各種手当、福利厚生制度の利用、教育支援などにも影響を与えます。
同一労働同一賃金は、大企業で2020年4月から、中小企業では2021年4月からスタートする予定です。今まで存在していた待遇の格差が根本から変わる大きな制度改革であり、雇用形態に関わらず多くの従業員に影響が出てくるでしょう。
また企業側にとっても、人件費のコスト増や従業員管理における業務量増加、新規採用の計画などに影響を与えることになります。
働き方改革で変わる職場環境
企業が取り組む働き方改革は、従業員にとってライフスタイルに合った多様な働き方を選択できる機会を与えるものです。これからの時代を生き抜くビジネスマンは、働き方改革で変わっていく職場環境を理解して、自分のニーズに合った働き方をしていきましょう。
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