ボーナス(賞与)に対する所得税の基礎知識と計算方法

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

毎月支給される給与とは別に、ボーナス(賞与)にも所得税および社会保険料・雇用保険料が課されます。システムが自動的に計算してくれるとは言っても、人事や総務の担当者であれば、これらの計算方法を理解しておくことが望ましいと思われます。

そこで今回は、国税庁や厚生労働省、協会けんぽなどの資料を基に、所得税・社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)・雇用保険料の計算方法についてご説明します。

>【無料eBookプレゼント】ボーナスを含めた給与アップを実現する思考法

ボーナスに対する所得税の計算方法概要

ボーナス(賞与)に対する所得税率は、普段の給与と異なります。前月の給与(社会保険料等を控除した後の額)と扶養親族等(源泉控除対象配偶者および控除対象扶養親族)に基づいて定められることが大半です。例外としては、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない、前月の給与がない、前月の給与だけが異常に高いなどが挙げられますが、ここでは割愛します。

前月の給与および扶養親族等の人数を基に、国税庁の公表している以下の資料(表)から源泉徴収される税率が分かります。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成30年分)

具体例として、前月の社会保険料控除後給与が25万円、扶養親族等が2人、賞与が50万円というケースを考えてみましょう。この場合は、「賞与の金額に乗ずべき率」が2.042%であることが分かります。したがって、源泉徴収される所得税の額は1万210円(50万円×2.042%)です。

なお賞与に対する所得税率には、復興特別所得税も含まれています。復興特別所得税の税率は所得税の2.1%ですから、上の例ですと実際の所得税率は2%、復興特別所得税率は0.042%となります。

最高税率は45.945%に達します。ただし、これは扶養親族等0人で月給354万8,000円以上というかなりの高給取りに適用されるものです。会社員の多くにとって、賞与に対する所得税率は10%未満とそれほど高くありません。

なお、賞与から差し引かれるのは所得税および復興特別所得税だけではありません。社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)を考慮する必要があります。

【無料ebookプレゼント】これであなたも3割アップ!給料を上げる思考のクセ

ボーナスに対する社会保険料と所得税率

ボーナスには健康保険料、厚生年金保険料、そして40歳から64歳の「介護保険第2号被保険者」に当たる場合は介護保険料の合計3種類の社会保険料が課されます。賞与にかかる保険料の額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じたものとなります。

健康保険料率は都道府県によって異なるため、具体的な保険料率を知りたい場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)の以下のページへアクセスしてください。

平成31年度保険料額表(平成31年3月分から)

たとえば東京都の企業に勤める45歳の被保険者の賞与が50万円だったとします。東京都の健康保険料率は9.90%、介護保険料率は1.73%(全国一律)、厚生年金保険料率は18.300%(全国一律)ですので、 社会保険料は14万9,650円(50万円×(9.90+1.73+18.300))と計算されます。これを企業と被保険者で折半しますから、被保険者の支払う社会保険料の合計額は7万4,825円となります。

さらに言えば、社会保険以外にも雇用保険がかかります。2018年度および2019年度の従業員負担率は、多くの業種では0.3%、農林水産・清酒製造・建設では0.4%となります。

会社員が賞与の際に支払う社会保険料および雇用保険料の率は、上の例ですと15%ほどとなります。所得税に比べると、かなり高いことが分かります。

ボーナスの所得税率を下げても意味がない!

つい給与や賞与から引かれるお金というと、所得税や住民税だけに目が向いてしまうかもしれません。しかしこと賞与に関して言うと、こうした税金よりも社会保険料の負担の方がはるかに大きいことを理解する必要があります。ボーナスの税率を下げるべく節税工作に励んでも、あまり意味がないのです。

賞与に対する所得税は、前月の給与額で決まります。所得税を節税したければ、前月の給与をあえて下げればよいということになります。具体的には、ボーナス支給月の前月に限って残業時間を極端に減らすなどの策が考えられるでしょう。こうすれば、確かに所得税率を下げられるかもしれません。

しかし、社会保険料および雇用保険料の額は賞与額そのもので決まります。前月の給与額がいくらであろうと、保険料には関係ありません。苦労して節税工作をしても、賞与から控除される額の大半を占める保険料は下がらないのです。

ボーナスの手取りがどう計算されたか理解しよう

ボーナスから天引きされる額を少なくすることは困難ですが、それでも手取りがどう計算されるかを理解することには意味があります。特に総務や人事の担当者は、社内の従業員の税額および保険料の計算に誤りが無いことを確かめられるようにするためにも、今回ご説明した内容を頭に入れておく必要があるでしょう。

給与を上げる思考法と賃金制度の新常識とは

これからの時代、働く全てのビジネスマンは、ボーナスも含めた基本的な賃金を上げるためには、どのようにすればよいのでしょうか?また、企業は賃金を理由とした離職を防ぎ、業績を伸ばし続けるにはどうすればよいのか?無料の資料をご用意いたしましたので、ぜひご活用してください。


「これであなたも3割アップ!給料を上げる思考のクセ」
このeBookでは、「超売り手市場」の就活市場の中で、自分の市場価値を上げ、給与をアップする会社の選び方をご紹介します。
             
 
  
   

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

「これであなたも3割アップ!給料を上げる思考のクセ」

  
 
 

「8割の経営者が知らない 賃金制度にメスを入れるべき3つの理由」
このeBookでは、賃金の上げ下げをしにくくしている背景や原因を解説し、不況時にも辞めてほしくない人材を離さず業績を伸ばし続けるための方法をご紹介します。
             
 
  
   

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

「8割の経営者が知らない 賃金制度にメスを入れるべき3つの理由」

  
 
 

ボーナスに関連する記事

本記事の他にもボーナスに関連する記事をピックアップいたしました。
これからのボーナスについて考えるきっかけにしていただけますと幸いです。

成果と給与が結びつく、従業員が納得する評価の仕組み

高度経済成長期に日本に定着した「年功序列型」給与制度。

年齢や勤続年数によって給与が上がる仕組みは、企業には、定着率の向上や評価のしやすさというメリットをもたらし、従業員にとっても生活の安定が保障される、双方にとってプラスにはたらく制度でした。

しかし、経済が低迷する今。
成果に見合わない給与が企業経営を圧迫してはいないでしょうか?

「年齢が上なだけで高額の給与を支給している。」
「頑張らなくても、勤続年数が長くなれば昇給していく。」
「若手の優秀社員が給与不満で辞めていく。」

時代に合わない給与制度に終止符を打ち、従業員のやる気と能力を引き出す「ジョブ型」制度への切替をはかりませんか?
日本に旧来から浸透している「年功制」、いわゆるメンバーシップ型の人事制度を根底から見直し、ジョブ型の制度に変えていくためには、何をしたら良いのか?全国3,000社以上の人事評価を手掛けたあしたのチームが具体的な手法をお伝えします。


詳細・お申込はこちら

あしたのチームのサービス

導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

あした式人事評価シート